この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
【BGMとBGV】Lo-Fi HipHop(forリモートワーク、休憩中、就寝前)
“Lo-Fi”と”Hi-Fi”、hiphop
今回は、近年のYouTubeで人気となって久しいBGMの人気ジャンル、Lo-Fi HipHopについてまとめました。
“Lo-Fi”とは
“Lo-Fi”とは、あえて高音質ではない環境で作り出す音楽を志向する姿勢や、その環境から実際に作り出された音楽を総称します。
Lo-Fidelity(忠実度が低い)、あるいはそのままLo-Fi music(高音質ではない、音が割れていたりひずんでいたり歪んでいたり、原音を忠実に再現していない音楽)と表現される音楽は、かつて時代のトレンドがHi-Fi(Lo-Fiの逆に、高音質、音の忠実な再現性を志向する音楽一般)を至高と判断しているうちは、本質的に目指されにくい、ありがたみを感じられにくい傾向にありました。
そこには一般論としても理解しやすい流れがありますが、時代がただひたすらにクオリティの高いものを目指す方向性を良しとしている(=わかりやすい”伸びしろ”がある)うちは、「でない」ものの方向性自体が(あえて作り出す対象としては)真逆であり、目指すべき理想とはなりにくいためですね。
身も蓋もない言い方をするなら、Hi-Fiを至高とする場合、ありきたりなLo-Fiであれば特に目指そうとしなくても作れることが一般的でしょうし、特に魅力を感じないことが原則ではないでしょうか。
CDプレーヤーが爆発的な普及を始めると同時に、CDが売れに売れまくるようになっていった、その結果アナログがみるみる廃れていったという、90年代の音楽シーンを微妙に懐かしくも感じますが、例えば一般的なCD音源とレコード音源を比較した場合、”Hi”はCD、”Lo”はレコードに該当します。
CDで”レコードっぽい音”を再現することは容易でしょうが、逆(=レコードでCDっぽい音)は必ずしもその限りではありません。
そのあたりが、双方の本質的な違いに該当します。
“Hi-Fi”志向の限界と”Lo-Fi”
高クオリティ(対象を音楽に絞って考えるのであれば「高音質」)がさしあたり行きつくところまで行きついてしまうと、(場合によりけりでもあるのでしょうが)今度はそこに”達成後”特有の停滞感が生じ(ることもあり)ます。
皮肉なことに、作り出される音の完成度が高くなればなるほど”かつての目標”が失われ、次に目指すべき方向性そのものが迷走を始めてしまう(という状況が生じることもある)ためですが、その結果、時としてこれまで追い求めてきたはずの「質の高いもの」への懐疑や批判が生まれ、トレンドが逆流したりする場合もあります。
ただひたすらに機能的・合理的・効率的なものを追い求めた「近代化」の動きの後で、近代的なもの全般への批判であるいわゆるポストモダン(=近代後)の風潮が出て来たというような話にも似ていますが、”目標”に到達した後、理想を突き詰め続けた結果蔑ろにされてきたものを改めて振り返ってみれば、それはそれで案外良かったんじゃないか、というような感覚ですね。
反対に、そのまま高性能方向に突き抜けていく類の動きとしては、近年の電化製品の”スマート”化などをピックアップすることが出来ますが、”逆流”によって生じたものの典型の一つに上がってくるのが、どこか懐かしさを感じさせるという”Lo-Fi”の音作りです。
“hip hop”
“hip hop”は、70年代にニューヨークのサウスブロンクスで生まれたとされる、メインの音楽文化に対する「裏」ポジションから発展してきた音楽です。
音楽としても文化としても、好きな人はとことんハマるだろうけど、端から万人受けは狙われていない感にあふれているという、中々にクセのあるジャンルではあります。
ラップやブレイクダンスが柱となり、DJがそれをアレンジする、独特のファッションも要素の一つになっているというような世界の作られ方自体、やはりメインの音楽文化とは異質な、「カウンター的な何か」が作り上げてきた文化がそこにあるといえる感じですね。
about “Lo-Fi HipHop”
そんな”Lo-Fi”と”hip hop”、元々食い合わせ自体が抜群だったんじゃないかと思えたりもしますが、大きな動きとしては2016年~2018年あたりにかけて、特に2017年にYouTubeではじまったライブストリーミングをきっかけとしてブレイクしました(というようなことが、多くのLo-Fi HipHopサイトで語られています)。
音楽としては、ジャズの音源をサンプリングしてまとめたものが主流のようです。
よく耳にするBGM的なジャズ音楽自体、有名曲を編曲して別バージョンの曲にしましたというような曲が結構あったりするのですが、ジャズを元ネタにすることが多いというLo-Fi HipHopの世界では、「編曲された曲の一部をさらにサンプリングした」という曲がしばしば流れているようです。
ちなみにサンプリング(動詞”sample”の現在分詞系=sampling、採取、抽出等の意)とは、既に世に出ている音源・フレーズをアイデアとして利用(サンプリング=採取)し、別の音として再構築することです。
例えば電子ピアノの音なども、グランドピアノの音を忠実に録音(サンプリング)し、再現することによって作られているのですが、Lo-Fi HipHopの場合は「音の再現」というよりは「フレーズの再現」であり、その繋ぎ合わせで全く新しい曲を作っていく、というような手法が用いられています。
これは余談ですが、性能のいい電子ピアノの場合、鍵盤を叩く感覚が多少いい加減でもいい音が出てしまうので、アップライトピアノやグランドピアノと比べた場合は、練習にはあまり適さないとも言われています。
実際に引いてみると、自分の本当の実力よりも、幾分上手に聞こえてしまうためですね 笑。
もちろん、普通のピアノの代用品として考えるのであれば、”性能の良い電子ピアノ”一択ということになるのですが、電子ピアノではなくあくまで”ピアノ”を意識するのであれば、それでも最後にはアップライトもしくはグランドピアノを弾いて感覚をつかむ必要がある、とはしばしばいわれることです(恐らく市井のピアノ教室で普通にピアノを教わると、そのようにレッスンされることになります)。
Lo-Fi HipHop お勧めライブチャンネル
coffee shop radio // 24/7 lofi hip-hop beats
STEEZYASFUCK(チャンネル登録者数107万人)のライブチャンネルです。
背景の絵が表しているような、深夜のコーヒーショップ感あふれる音が魅力です。お店に横付けされている車のハザードランプには、色々な想像を掻き立てられますね。
🌙 24-7 lofi hip hop radio – late nite chat – every night 8pm-4am ♫
Nickolaas(チャンネル登録者数9万人)のライブチャンネルです。
イラストの細部までよく見ると結構忙しい室内に見えてくるのですが、ぱっと見で伝わってくるのは、疲れた自分を丸ごと包んでくれるLo-Fiの世界、みたいな感じでしょうか。
深夜にかけて、頭を研ぎ澄ました状態でまったり集中したい場合のBGMにお勧めです。
他、lofi hiphopやlofi liveで検索すると、lo-fi関連の人気チャンネルを検索することが出来ます。
タグ