【おうち時間】紅茶の歴史と紅茶の基礎知識

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【おうち時間】紅茶の歴史と紅茶の基礎知識

紅茶の歴史

紅茶とオランダ、イギリス

紅茶のルーツは有史以前(原始時代)にありますが、飲み物として中国で一般化したのが6世紀頃、それから約1000年の後、17世紀に欧州へと伝わることになりました。

どの国が欧州に”紅茶”を伝えたのかについては、オランダがオランダ東インド会社を通じて伝えた説、イギリスがイギリス東インド会社を通じて伝えた説、2説あるようです。

ちなみに、オランダ東インド会社は「中国やインドネシアとの交易をしていた、オランダの国策貿易会社」で、イギリス東インド会社は「最初期はインドネシア、後にインド、末期には東南アジアや中国との交易をしていた、イギリスの国策貿易会社」です。

国名以下の日本語会社名が同じでありながら対象としているエリアが異なるのは、交易対象エリアのあり方に、当時の国際社会の勢力図が反映されているためです。

元々17世紀に中国や東南アジアとの交易で力を持っていたのは当時の欧州で最強の経済大国だったオランダですが、やがて18世紀に入ると、オランダは、世界一の経済・軍事大国となった全盛期イギリスの後塵を拝するようになります。

この力関係は、日本の対外交易にも同様の足跡が残されていますね。

江戸時代の中期(17世紀中盤)以降、欧州で唯一日本と国交があった国はオランダでしたが、やがて幕末(19世紀中盤)に列強との通商が開始されると、ほどなくイギリスが日本と最も強いつながりを持つ国となりました。

そんな感じで、すごくざっくりですが、元々東南アジア・東アジアと強いつながりを持っていた欧州の国はオランダであり、後にその地位を獲得したのがイギリス(さらにそののちにアメリカ合衆国)だったんですね。

なので「アジア原産の紅茶を欧州に伝えたのはどちらの国か」と言われた時、オランダ、イギリス、恐らくこの両国のどちらかであることは確かだったとしても、諸説出てくるのは無理のない事なのかもしれません。

という感じで、”オランダが伝えた説”、”イギリスが伝えた説”、欧州での紅茶のルーツには、二説が併存しています。

“オランダが欧州に紅茶を伝えた説”が主張するのは「オランダ東インド会社が欧州に伝えたものが紅茶だった」とする説で、”イギリスが欧州に紅茶を伝えた説”が主張するのは「オランダ東インド会社が欧州に伝えたものは、日本から伝わった緑茶や、中国で飲まれていた紅茶とは別の中国茶だった」とする説です。

後者の説の場合「オランダ東インド会社が欧州に”お茶”を伝えてほどなく、イギリスが中国から現在の紅茶によく似た茶葉を輸入した、それが紅茶のルーツだ」と続きます。

 

参考:日本紅茶協会紅茶の歴史“、お茶百科欧米でのお茶の歴史

 

“イギリス”から世界へ

オランダ、あるいはイギリスの”東インド会社”経由で欧州に持ち込まれた紅茶はやがて欧州で大人気となりますが、世界規模での普及に一役買ったのはイギリスでした。

紅茶の普及に歩みを合わせる形でオランダから”覇権”を奪取したイギリスは、インド、スリランカ(イギリス領セイロン)、アフリカ等植民地での栽培を開始しますが、その結果、より広範に栽培されるようになった”紅茶”は、英国植民地にとっての代表的な輸出品目となる形で広まっていくんですね。

現在も紅茶の一大産地であるインドネシアは、第二次世界大戦以前はオランダ領東インド(蘭印、蘭領東印度)と呼ばれたオランダの植民地であり、やはり当時から紅茶の栽培を行っていました。

ちなみに日本への紅茶の初上陸は明治20年(1887年)、植民地経由の輸入ではなく、あえてイギリス本国から紅茶100キロが輸入されました。

かつてのイギリスの貴族社会でそうだったように、当時の日本の上流階級に大うけした、大人気の飲み物となったようです。

 

基礎知識

紅茶の産地と”エリアティー”

紅茶の葉がなるチャノキアッサムチャは、気候が温暖で降雨が多く、作物が育ちやすい弱酸性の土壌を好むようです。

現在の最大の生産国はインドですが、茶葉の見た目から、海外では(欧州に紅茶が伝わった当初から)”ブラックティー”とも呼ばれているようです。

紅茶もコーヒー同様、産地によって銘柄が分かれていて「特定の産地から取れた葉だけを用いた紅茶」が基本となりますが、この「混じりっ気のない紅茶」はエリアティー(特定のエリアで取れた葉だけを使ったことを意味します)、あるいはピュアティー(混じりっ気のないお茶であることを意味します)などと呼ばれます。

エリアティー(ピュアティー)は、コーヒーでいうところのストレートコーヒーにあたりますが、紅茶の場合、”ストレート(ティー)”は飲み方のことを指します。

ただし”エリアティー”のつもりでストレートと言ったとしても、通じるか通じないかでいえば、全く通じないということはなさそうなので、呼称一つにそこまで神経質になる必要はないのかもしれません。

 

ブレンドティー、フレーバーティー、茶葉の等級

これに対して、複数の茶葉を合わせた紅茶をブレンド(意味するところのニュアンスは、概ねコーヒーと同じです)、茶葉に香りを付けたものをフレーバーティーと呼びます。

エリアティーの味わいの上に定番ブレンドがある、さらにその先には多岐にわたるフレーバーティーの世界があるというあたりが、根強い紅茶人気の大きな理由ですね。

豆知識(?)としては、豆の砕き方で味が変わるコーヒーに対して、紅茶は茶葉の裁断の仕方で味が変わる、という点が挙げられます。

一切裁断されていない”オレンジペコー(OP)”や、葉の元々のサイズ的に裁断できなかった”ペコー(P)”から、葉を裁断した”ブロークン”、裁断はしていないがふるい分けで分けられた細かい茶葉であるファイニングスやブロークン等々、複数の等級に分かれています。

ただし、ここでの等級分けはそのまま品質を表すものではなく、葉の大きさの違い(そのことに起因する用法の違い)を表しています。

 

参考:紅茶喫茶園紅茶のグレード“、日本紅茶協会紅茶の等級“、POMPADOURお茶の基礎知識

 

(”【おうち時間】代表的な紅茶各種と紅茶の楽しみ方“へ続きます)

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