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山井はすっかり心強い味方になり、物語は最終章へ
ネタバレアリの龍が如く(如く8公式)レビュー。
前回の続き、物語のラストまでです。
純粋なレビューというよりは、所々でプレイしながらまとめていたメモをとりあえずの形にしてみました。
通りすがりの方で、要するにという結論だけをご所望の方は、”プレイ後の感想 -“如く8”は神ゲー、やっぱJpop最高-“へといきなり進んでしまってください。
いよいよ見えて来た物語の全貌
ハワイ編のキーパーソン、チーちゃんこと不二宮千歳
ドラマが中盤に向かっていく流れの中、多々良ヒソカという暴露系Vチューバーの動画チャンネルがストーリーに大きく絡んでくるのですが、まずはこの”多々良チャンネル”がぶちまけたガセネタによって一番・ナンバ・足立さんは職を失い、さらには後に桐生ちゃんも追い込まれて行きます。
一番達一行にとっては大概ろくでもないチャンネルなんですが、このVチューバー・多々良ヒソカのチャンネル、元々は暴露系とは全く無縁、”ガチお嬢”のチーちゃんが身分を隠しつつ細々運営していたという、よくある零細チャンネル(言ってみれば、チーちゃんの”裏アカ”的な動画チャンネルですね)の一つでした。
チーちゃん的にも「そこだけが自分の居場所だった」というようなノリでやっていたようなのですが、故あって、というよりは当時のチーちゃんの一身上の都合によって、このチャンネルが”実家・不二宮家をターゲットとした暴露系”へと転身します。
以降、”多々良ヒソカ”は”vs不二宮財閥”に全力を突っ込むチャンネルへ化けてしまうのですが、かつてのファンを減らしながら暴走を続けていたというこの危なっかしいチャンネルを乗っ取るべくチーちゃんにすり寄り、かつ事実上チャンネルを乗っ取ってしまったのが、エーちゃんこと三田村という元マスコミ人、元・ブリーチジャパン構成員(東京の支部長?)でした。
つまり、一番達との出会いのタイミングがズレていた二人、チーちゃんと三田村は、一番達に出会う以前からの知り合いだったってことなのですが、作中中盤付近を過ぎるまでは、プレーヤーにはこのことはわかりません(ただし、クリア後に改めてこの二人が居合わせた場面などを振り返ってみると、そのことがある程度はっきりわかるように描写されています)。
“多々良ヒソカ”がインフルエンサーになり得たのは、元マスコミ人・三田村の確かな情報源があったことと、元々チーちゃんが多々良ヒソカを持っていたこと(かつ、”vs不二宮財閥”限定の暴露系に転じていたこと)、この二つが組み合わさった結果”全方位をターゲットとした暴露系”に転じることが出来た結果だったということで、一番達は”新生・多々良ヒソカ”に(ガセネタで)潰され、桐生ちゃんが(極秘にしていた”生存”を暴露されるという形で)追い込まれていくんですね。
結局のところ、ゲスい三田村と組んでいることに耐えられなくなって一番達に鞍替えしていくのが”中盤・チーちゃん”の身の振り方なのですが、思えばこの”裏の関係”をチーちゃん自ら暴露したのもピンチに次ぐピンチの合間のことでした。
チーちゃんが三田村との縁を切った瞬間はまた、チーちゃんと”暴露系・多々良ヒソカ”の(ひとときの)決別の瞬間でもあったのですが、三田村が乗っ取った多々良ヒソカをさらに上から利用したのが星龍会・海老名だったということで、多々良ヒソカを使ったブリーチジャパン立ち上げライブ終了後早々に、粛々と”ブリーチジャパンを隠れ蓑にした、元ヤクザ潰し”が始まります。
作中”三田村の乗っ取り”の行きつく先はブリーチジャパンの立ち上げ(再結成)で、ここで”ヤクザ壊滅”を狙っていた海老名との利害が一致することになるのですが、身に降りかかった不幸の重さという意味では”スカイファイナンス秋山”に近いものを感じなくもないかつての三田村、本性を暴かれてみれば秋山とのイメージその他の違いに天地ほどの開きがある人物となっていました。
結局のところヤクザ潰せれば何でもよかった(だからこそ、より大きな力を持つ”同志”=海老名に阿ったともいえる)三田村に対して、ヤクザ潰しの明確なビジョンと意思、実力全てを兼ね備えていたのが海老名だったということで、零細だったころの多々良ヒソカは一体どこへ? という 笑、不幸が不幸を呼ぶ形で転がり落ちていく”多々良ヒソカ”を軸として、物語は終盤へ進みます。
最終的にはハワイ編のエンドで”多々良ヒソカ”の主導権を再びチーちゃんが奪い返し、”一発逆転サヨナラホームラン”的な展開へと進むことになるのですが、余談として、ひとつの量産型零細チャンネルから暴露系インフルエンサーに転身して不二宮家をターゲットとしていた頃の多々良ヒソカを、チーちゃんの実父がどのように思っていたのか、それに対して今のチーちゃんが何を思うことになったのかといったあたりは、”絆ドラマ”で補足されています。
ハワイ編もう一人のキーパーソン、山井豊
今作の新キャラの中で一番濃いと感じたのは誰だったかと言ったら、ラスボスの海老名と並んで間違いなくその筆頭に上がって来ることになるハワイヤクザ、山井豊。
元東城会のヤクザだった、しかし「組長の女に惚れたから組長の女を襲い、かつ組長を殺してしまったことから組を追われてハワイに逃亡した」という、中々とんでもない過去を持つと言われていた男ですね。
極2の終盤の方で、東城会本部で衆人環視の中姐さん(大吾のお母ちゃん)にちゅーして告白した、その直後桐生ちゃんにボコボコにされ、他ならぬ姐さんには絶縁処分され、最後には当時まだ将来を期待される若手の一人にすぎなかった大吾に「てめえの欲で組めちゃくちゃにしやがって」と言われて射殺されたという、弁解の余地がない上これ以上ない位悲惨な最期を迎えることになってしまったという”錦亡きあとの錦山組のあいつ”を連想させられてしまうような経歴ですが、山井にまつわる醜聞は、全てわかってみれば全くの狂言でしかないという酷い噂だったりします。
「組長の女に惚れた」「組長を殺した」、確かにここはあっているのですが、その間の「組長の女を襲った」、実はこれがデタラメだったんですね。
質の悪いことに、噂の出所がよりにもよって・・・、という話しでもあったんですが、全ては「山井に襲われた」という組長の女の狂言でした。
そんなことして逃げて来たといわれてる割にはなんか無駄に貫禄あるようにも見えるけど、ひょっとしてマジで頭イカレテル系のヤクザなのかな、なんて思うのがせいぜいで、本当のところについては少なくとも序盤プレーヤーの知るところではありません。
序盤はといえば無駄に強いし必要以上に大暴れするしで「なんか本当毎度毎度とんでもないなこいつ。やたら強いだけじゃなくて不気味だしウザいし頼むからとっととくたばってくれよ」みたいな印象を持つのが精々だったのですが、物語が中盤に至ると一番パーティにとって徐々に得難いキャラとなっていくという、まさかの展開へ。
例えていうなら、序盤の山井が1とか極の頃の真島の兄さん、中盤から終盤への山井が”ゼロ”の世界の真島の兄さん、みたいな感じでもありますね、なんとなく。ハワイのオバちゃんたちに大人気、なおかつ山井自体もまんざらでもなさそうなのも、納得といえば納得なところです 笑。
「あれ?」となるのは、序盤山井への拒否反応がピークになった”桐生ちゃんたちあぶり出すために森に火を付けろ”みたいなイカレた展開からの戦闘になった場面で 笑、「なんだよこいつガチのマジキチじゃねーか 笑 もう頼む、マジで今度こそこいつにとどめを刺してくれ」となった後。
味方を逃がすためにしんがりとなった桐生ちゃんが山井一派に生け捕られ、そこで山井たちにとどめを刺されてしまったのかと思いきや「昔から憧れていた桐生ちゃんが病気で死にかけている」とあって、手を出さずに医者に診せたという、山井一派のアジトでの下りからですね。
結局はここが転機となって桐生ちゃんは横浜に帰り、かつ(見えないところで?笑)治療に向かう(その上で、今後を見据える形でこれまでの自分の人生とも向かい合っていく)ことになるので、仮に山井に生け捕られていなければ、桐生ちゃんはその死期を早めていたかもしれない(なんなら作中中盤で逝っててもおかしくなかった)ってことでもあるんですよね。
そこ、「山井の手柄」的な切り口ではあまりというかほとんど描写されていない部分なんですけど、実は山井の隠れたファインプレーでもあったりします。桐生ちゃんを医者に診せたことそれ自体がというよりは、その前段階の生け捕りにしたって部分と、医者に診せた上で一番たちに返した部分ですか。
実は初対決時にそれ(桐生ちゃんの様子がなんかおかしいということ)が分かっていたからこそ桐生ちゃんを必要以上に付け回していたのだ(おかしいならおかしいで、街中で大暴れなんて一刻も早く止めさせる、とりあえずボコった上であんたこんな体で何をしてるんだと言って、きちんと医者に診せるべきだろう、というのを狙っていたみたいな)、までありそうではあるんですよね。
山井自身は、絶対にそう言うことを言わなそうではありますが 笑。
結果論ですけど、桐生ちゃんが生き延びるためには山井に拉致られるより他なかった、みたいな感じですか。絶体絶命のピンチだと思われていた状況が、実は唯一無二の生存ルートになっていたとも思われるって、もう何が何だかわからない感じではあります 笑。
以降、ナンバと共に治療のために帰国した桐生ちゃん、少なくとも酒の量を制限するとかそういう最低限の気を使うようにはなって行くのですが、そのあたりからじわじわと、主に一番の言葉を通じて山井の本当のところが伝わってくるようになります。
その上でのとどめは、ピンチに次ぐピンチを迎えていたという一番一派がハワイから日本へ渡航する下りでの、山井の挙動ですね。
山井は自分の身柄を日本の警察に売り渡すことで、一番一派を日本へ送り届けるという離れ業をやってのけるのですが、最後の最後には、何で夏でもさむがっていたのかの理由が明かされた上で、その状態を克服して出頭します。
「序盤の山井をキモがっていたプレーヤーほど、最後には山井に魅せられるのではないか」というような、なんともいえないもの悲しさと表裏一体になっているカッコよさは、次回作以降も作中のどこかでお目にかかりたいなと思わせるものでした。
変節した、”ヤクザ嫌い”の悪党たちの行きつく先
物語が中盤を過ぎると、横浜でもハワイでも、終盤へ向けてガンガン展開が加速します。
敵味方共に、クライマックスに向けていろんなものがぶっ壊れ始めていくのですが、その中心となるのが作中の主要な人間関係で、既述の二人(チーちゃん、山井)を含め、今作の”新人”はほぼ全員立場がひっくり返ります。
まずは敵・味方間を行ったり来たり、主に敵側に正体と本音を晒す形で微妙に複雑なムーブを見せていたチーちゃんは、最後は泣きながら味方陣営に加わります。
さらに、初登場時には「実はこいつの進化系がラスボスだったりするのか?」という位エグい敵だった山井。中盤以降はすっかり心強い味方陣営の一員となったあと、最終盤へ向かう流れの中で一番たちの大きな力となって、最後の最後に若かりし日の悲しい過去を吐露して去って行くことになりました。
その一方で、時に一番の側近感さえ匂わせていたエーちゃんこと三田村英二は、終盤に向けて一番パーティを正面から”out”して行きます。
三田村については、どこのチャンネルだったか、この流れを予測していた”如く”のファンチャンネルありましたね。
「三田村かトミー、一番周りの新参どっちかが裏切り者になる」みたいな感じで。
もっとも、トミーの場合は出会いが現地のタクシー強盗・トミーとその被害者・一番という形でのものだっただけに、この二人のうち”ストーリーを盛り上げる裏切り”が出来るのは三田村だけだってことになってしまうのですが 笑、結果的にその部分をピンポイントで的中させているあたり、コアなファンは過去作分析もガチっているのだということで、中々すごいところではないでしょうか。
ということで、ハワイ編開始早々一番に取り入ると、以降はどこか生真面目ではかなげな印象を演出していたエーちゃんは、中盤以降は過去作で言うなら同情の余地が皆無の”若”、あるいは”6”ラスボスの巌見恒雄から腕力と地位・家柄を抜いたような腐れ外道・三田村英二と化していきます。
ここの部分なんですけど、クリア後に改めてムービーまとめ動画や実況動画でチーちゃんと三田村のふるまいを見比べていくと、リアル進行時にはスルーしていた挙動にきちんと意味が宿っていたんだということが伝わって来る、背景事情とその後の展開が想像できるように描写されているんですよね(”如く”のそういう細かいところと複雑なプロット、本当たまらないですね 笑)。
そんな感じで初めの印象とは裏腹に、中盤過ぎからは「こいつが画面に出て来るだけで胸糞悪くなって来る」というレベルのわかりやすい悪役へとシフトチェンジしていくのですが、さらに三田村同様、一気にキャラを変えて来たのが星龍会の新参・海老名でした。
どちらかというと三田村に近いイメージが無きにしも非ずだった(少なくとも敵としてはノーマークに近い立場にいた、うさん臭さはありつつも、そこはかとなく”心強い味方風”を匂わせていたはずの)海老名は、”第二次大解散”の線で星龍会を引っ張っているという体を最後の最後まで崩さずに、時が来たら一気に変節します。
なんせあれだけ強かった沢城のカシラがいつのまにか瀕死のフルボッコにされていた、かつやられたシーンまですっ飛ばされたという展開です。海老名が敵に回っていたことそれ自体が分からんという意味ではなく、明確に敵に回った海老名の挙動自体がいきなりすぎて、若干置いて行かれたという感じでした。
ここ(沢城のカシラがやられたあたり)からエンドまで、本線ストーリーにはわかりやすいレールが敷かれる形になるのですが、さて、何から何までひっくり返った物語の結末やいかに、といったところですね。
先にオチというか結論的な部分を言ってしまうと、三田村は最後の最後で一番に救われて改心し、最強のラスボスとして大立ち回りを演じた星龍会・海老名は、桐生ちゃんと分かり合えた?ような余韻を残します。
三田村=エーちゃんが”まさに今現在の不幸”と共に生きているオチコボレ、海老名が”かつてあった不幸”と共に生きて来たオチコボレをそれぞれ象徴している感じですが、一番はそれでも自分が体を張る形でエーちゃんとともに歩いていくことを選択し、対して桐生ちゃんは命を懸けて体を張って海老名を止めた(その先ではお互い独立独歩を連想させる)というあたり、”如く”世界の真骨頂を思わせる結論でした。
そしてエンディングへ
レジェンド・中ボス・ラスボスたちとのご対面
沢城のカシラの壁を超えた横浜編では、次の壁が東城会のレジェンド三人衆、冴島、真島の兄さん、大吾です(確か、レベル44以上位推奨でした)。
この辺りが中盤の終わり、かつエンディングへのスタートラインですね。
横浜編で”兄さん、冴島、大吾”の壁を超えたら、次はハワイ編へ。
ハワイではバラクーダ(ハワイマフィア)のドワイト、パレカナ(ハワイ土着の宗教団体)のブライスを立て続けに相手にした後、再び横浜へと戻って最後の戦いへ望みます。
メンバーは、中盤以降固定です。
横浜が桐生ちゃん、ナンバ、さっちゃん、ソンヒ、趙天佑。
ハワイが一番、足立さん、トミー、チーちゃん、そして終盤でパーティ加入するハンジュンギです。
かつて中盤の横浜編でソンヒと趙が加入した後、一緒に異人町のサバイバーに来ていたはずのハンジュンギが不貞腐れたような顔をしていた、後にそのまま消えていったことを何となく覚えていますが、「今作、もうハンジュンギは出てこないのかな」と思って久しくなっていたタイミング、ピンチの中でのまさかの加入とあって、プレーヤー的には「テンション上がりますねぇ!」な一幕となりました 笑。
ちなみに中盤最後に登場する東城会レジェンドの三人衆は、相変わらず派手に強いのですが、かつての威光を考えたらかなり地味な役回りを与えられていました。なんせ、国の最果てにあると思われる名も無き地での、掘っ建て小屋での逃亡生活中のバトルが唯一の見せ場でしたからね(その分、オーラスに向かう流れの中では、中々涙ものの活躍シーンが与えられています)。
かといって、ハワイラスボスのドワイトやブライスの強さや立ち回りがそこまで派手かと言われるとさてどうだろうか、といったところではあるのですが、中盤からオーラスに向けてのドラマは、割とどこか淡々と進んでいく(その中で所々に強烈な感動が潜む)といったイメージがありました。
レベル40くらいまでの戦いと、レベル40くらいからの戦い
如く8の場合、レベル30後半から40位のところにレベル上げの最後の壁(?)がある感じなのですが、概ねここを超えると街中では全てがサクサク進むようになるので、レベル上げ作業が一気に楽になります。
大体マップのどこにいってどんな敵が出て来たとしてもまぁ倒せるという状態になる(レベル50以前の状態だとヘルプと極み技の利用必須ですが)、そうなったらあとはどんどん戦いが楽になって行く、その気になれば経験値もお金もガンガン貯められるので、さらにレベル上げが促進されます。
ハワイ編はレベル50手前くらいでもギリラスボスまでクリアできますが(会話集めや人助け、サブクエを進めながら街中をウロウロしているだけで恐らく大丈夫なレベルです)、横浜編はラスボス海老名が(ドワイトやブライスあたりと比べると)エグいほど強いので、それだと少々キツいです。
海老名って戦闘スタイル的には(一回一回の攻撃の破壊力がハンパ無い上、全員に複数回攻撃ガンガン仕掛けてくるという)山井の上位互換なので、その意味でも、とてもラスボスらしいラスボスなんですよね。
ということで、レベル50~55位まで、地下ダンジョンでレベル上げ頑張ってから余裕持って(コンビニ・薬局で買えるだけの回復薬等を買いあさってから)進むのがお勧めです。
ただし、ということで補足すると、これはあくまでミニゲーム(ドンドコ島とスジモンバトル)のやり込みなしで進んだ場合の話しなので、その辺をきっちりこなしながら進んでいった場合、この限りではないかもしれません(特にスジモンバトルのやり込みですね)。
実況動画等を見ていて思ったことなのですが、サイドをやり込みつつ本線を進めていった場合はもっと楽に進める可能性があるし、それが王道的な楽しみ方なのかもしれない、ただし本線ストーリーのみを漁った場合にはこういう風になりますというような、そういうギャップを前提とした上で”一直線に進んだ場合”はこんな感じですと、そんな風に取っていただけると幸いです。
エンディングノートと桐生一馬と鈴木太一
レベル上げ作業が楽に進むようになってきたあたりで、桐生ちゃんのエンディングノートも佳境に進みます。街中で思い出の場所を訪ね歩く作業、あれは割とサクサクサクサク見れてしまうので会話集め同様に気が付くと進んでいる部分で、あれが懐かしい、これも懐かしいという感じで、気が付いたら最後まで行けてしまう感じですね。
過去作ファンにとってはご褒美タイムというか、”8の8である所以”みたいな部分の一つにあたる魅力なのですが、あくまで個人的な感想としては、街中での思い出集めは中々味わい深かったです。
中々味わい深かったというか、あれは正直、めっちゃよかったです。
というよりは、ほとんど今作をプレイする上での主目的になっていましたからね 笑。
ただし、伊達さんにハーバーライト(という異人町のスナック)に呼ばれて始まるドラマの方については、どのドラマもプレイ中の感動こそボチボチすごいものがあったものの、その内容や余韻はといえば、思った以上に後に残りませんでした。
7外伝のラストで、今は亡き(?)花輪にタブレット渡された桐生ちゃんが号泣しながら太一たちの動画を見るシーンは、今でも強烈に印象に残っているんですけどね・・・。
というのも、元々は「そういうものだ」(死んだ人間は表社会に出れないのだ)と割り切っていたからこそ、その範囲内でのドラマを求めることになった、かつそれでいいと皆が皆割り切っていたので、そこが琴線に触れたりもしたってことだと思うのですが(個人的にはそのピークが、7外伝~中嶋社長のドラマでした)、いい加減再会を喜ぶというよりは、痒い所に手が届かないもどかしい感じに欲求不満気味になっていく(ように、恐らくは”8”のドラマが作られている)んですよ。
作中の伊達さんのセリフに煽られるかのように”ギリギリの距離”が物足りなくなって行って、スカイファイナンス秋山と再会する(中々意表を突いた)ドラマでその物足りなさがピークに達した、以降はそれじゃこれ本当のところ何を期待すりゃいいのかと、感情が迷子になった上での軟着陸、と言った感じでした。
結局遥との”再会”は割と思った通り、期待通りのモノで、セレナのドア一枚を隔てた”再会”に「ああまあ、そうだろうね。やっぱり遥たちとはこれでいいんだよな」と、どこか予定調和を感じさせられたエンドとなったのですが、そんな最後の”遥とのドラマ”が終わったあと、またいつものようにハーバーライトでの伊達さんとの時間が訪れます。
生きることをあきらめるなとか、桐生一馬はそんな弱い人間じゃないだろうとか、お前には幸せになる権利がある(?というようなことを、別の言い回しで言っていたような記憶がありますが)等々と、例によって伊達さんが伊達さんなりに桐生ちゃんを熱く励ましていくんですが・・・。
伊達さんが今更こんな熱い励ましをしたところで、それが何かに繋がるってことがあるんだろうか。
素直なところとしては、まあそういう気持ちがまず最初に来ることにはなりますよね。
なのですが、ここで、いやちょっと待てよと、逆にそんなことを思った人も結構いたのではないでしょうか。
というか、僕自身がそうだったんですよね。
仮にあるんだとすれば桐生ちゃんが大道寺一派から切り離される未来が必要になってくるんだろうけど、果たしてそんな話を期待できる状況が残されているんだろうか。
いやこれ、普通に残されているんじゃね? という奴ですね。
「桐生ちゃんが大道寺一派から死んだ人間扱いされているのは、桐生ちゃんが大道寺一派にとっての”昭和の闇”への手掛かりとなる唯一の人間だからだ(そのように思われていたからだ)ってことだったんだ、そもそも」
「つまり、大道寺一派にとっての桐生ちゃんの命は、あくまで大道寺一派にとっての昭和の闇=尾道に浮かんだ巨大戦艦という形で残された、かつての国家予算規模の不祥事(不正?)が明るみに出ることに紐づけられているんであって」
「桐生ちゃんが表に出てくる=大道寺の闇が裁かれようとする機運が出来てしまう、という形でね」
「だからこそ桐生ちゃんを表に出すわけにはいかない、死んだままにしておいて、二度とその話題をぶり返してはならない、大道寺からの申し出だった、大金積んでの口止めを蹴っ飛ばした桐生ちゃんが自ら死んでやるといったことによって、そんなことにされているんだった」
「でも、そもそも8の中盤では「桐生ちゃんは生きていた」と、既に多々良ヒソカが暴露しているので、大道寺とはあくまで別件でさらに追い込みをかけていくという形で、桐生ちゃんは死んでいないということを大々的に周知していくことが出来れば、桐生ちゃんの身の安全が保障されかねる状態が訪れることになりそうだとは言え、それはそれで桐生ちゃんの足かせが一つ外れたようなものなんだよね」
「あとは件の大道寺の不祥事が桐生ちゃんとは全く違ったところから表に出てしまえば(ここ最重要)、それはそれ、これはこれということで、大道寺一派にとってはもはや桐生ちゃんの命に拘泥する理由が一切なくなるってことになるはず」
「この時点で、桐生ちゃんを拘束していた残り一つの足かせが外れて、桐生ちゃんは完全に自由の身になれると」
「例えば、多々良ヒソカが第二弾大スクープということで、桐生ちゃんとは縁もゆかりもないところからの情報を元にして、”昭和のフィクサー”大道寺一派の汚職を暴いてしまう」
「我々多々良ヒソカとその運営スタッフは、今回、あの昭和のフィクサー、大道寺の超極秘事項とされている資料を発見してしまいましたぁ~!」
「・・・みたいな形で、大道寺のトップシークレットを丸々暴いてしまったと考えたらどうだろうか」
「都合のいいことに、こちら陣営には改心した三田村もいるんだよね 笑」
「なんというか、後から考えたらむしろ三田村ってそのために8の世界に呼ばれたんじゃないかと思えてくるような気がするような、しないようなという気もしてくるんだけど」
「それはともかく、そうなったらそれこそ、あとは桐生ちゃんがどう生きようが死のうが、もはや大道寺一派にとってはどうでもいいことになる。というか秘密が表に出てしまえば大道寺は終わり、そもそも桐生ちゃんを気にしてどうこうなんて言ってる場合ではなくなってくるだろう」
「元々の約束の意味するところ自体、約束は約束とはいえ、どうにも理不尽なものがあったりしないかね、なんて考えたら、多々良ヒソカとは実に相性がいいネタになってくるんだよ、これ」
「ほかのエージェントたちについても、”カネの切れ目が縁の切れ目”は確実にあるだろうね。7外伝見る限りでは」
「ということは、大道寺の終わり=裏組織の終わりに簡単に直結してしまうのでは?」
「暴露系の多々良ヒソカって最終的にチーちゃんの元に戻ってきて全てをぶちまけた挙句、海老名たちの目論見に知らず加担させられていた不二宮財閥(内の、海運関連のふるまい)を追い詰めて、会長=チーちゃんのお父さんに頭下げさせたんだよね?」
「現在進行形で国の海運握ってる不二宮財閥と、”昭和のフィクサー”が頂点にいた(ピークが昭和だった)大道寺一派を比べたら、同じく政治に食い込んでいる大金持ち集団同士ではあったとしても、今や規模も権力も影響力も”不二宮財閥の方が全然上”と考えるのが素直な捉え方だろうし(だからこそ、中盤で大道寺一派が振り回される展開にもなったんだしね)、下手すれば主流(不二宮)と傍流(大道寺)位の違いがあったとしても不思議はないよね」
「ということはつまり、不二宮財閥にはそれ=大道寺の秘密暴露をやってのける力がワンチャンどころか普通にあることが考えられるということで、多々良ヒソカが大道寺一派を追い込んで壊滅にもっていけば、大道寺が桐生ちゃんにこだわる理由は一つもなくなるってことになるんだけど、その辺はどうなんだろう」
「チーちゃんが最後に不二宮財閥の後継者となったのも、なんだかんだその辺のことも理由の一つになってたりするのではないかな」
なんてことが頭に浮かんだりもしたのですが、これはひょっとするとひょっとするかもね、でも今それを期待しちゃうとまた肩透かしを食ってしまいそうだから、ちょっとそれはひとまず置いておこう、なんて形でハーバーライトを後にしました。
8ではこれが伊達さんとの別れのシーンでもあったのですが、今作のラストシーンでは、桐生ちゃんは”桐生一馬”として病院に入院していて、そこを遥がハルトと一緒に見舞っています。
「おじいちゃんは帰って来たんだよ」とかいって。
色々なシーンを思い出すにつれ、あとからどんどんじわじわ来るようなラストシーンですね。
どういう理由からのことかはわかりませんが、桐生ちゃんは”6”エンドで大道寺に取り込まれる以前のところに晴れて戻れたってことで、”9”では、その辺の補足説明もなされることになるのでしょう。
あとこれは、クリア後にこれまで我慢していた”8”関連の動画を色々見まくり、かつコメ欄も読み漁ったりした時に思ったことなのですが、今作でやたらあっさり死んでしまったという”転生森永”こと花輪について。
彼があの場面で死を偽装して大道寺一派の反目に回る、その上で”二度命を救ってくれた”という桐生ちゃんへの恩返しを画策しはじめた(そのくらい、大道寺のふるまいには色々と失望させられていた)、なんてことになったら割と最高ですね。
そういえばあいつ(転生前の花輪=5森永)は、5では無傷の分際で重傷を装って偽装入院した挙句行方不明となり、さらに行方不明中には後にラスボスとなる相沢の死を偽装して(本人には逃亡を示唆して)、なおかつ最終的には自らも死んだことにして5の途中で退場しているんですよね。
その後”6”と”7”では鳴りを潜めた上で、しれっと7外伝に登場して”自分を二度助けてくれた”という、鈴木太一こと桐生ちゃんとの間に友情を深めていくと。
もう今更、森永=花輪には何があっても一々驚くなってことなのかもしれません 笑。
プレイ後の感想 -“如く8”は神ゲー、やっぱJpop最高-
“7”のエンドは心底熱かったし、今更ながら地元・横浜を改めて好きになれました、等々と色々強烈に心地の良い余韻があったのですが、今作は対照的に、どちらかというと静かな余韻が残りました。
横浜でのラストシーンも、異人町サバイバー横での、コテコテのラブコメでしたしね 笑。
“如く”世界的には、”6”後に残された桐生ちゃんを取り巻く闇がここでスッキリ消え失せた、そのことによって世界が凪いでいる状態が訪れた感じでしょうか。
エンドに繋がって行くシーンのBGMとなった、椎名林檎さんの”ありあまる富”(この曲名は、如く8の最終章のタイトルでもあります)が歌っている世界と並行で流れていく感じですね。
というか途中で気が付いたんですけど、今作の章のタイトルって、全部Jpopの曲名で構成されてるんですよ。
はじめは単なる偶然かなと思っていたんですけど、幾つかボチボチ知ってるJポップなタイトルが入って来るなぁなどと思った後で、クリア後に改めて振り返ってみると、これはこれで意味するところが含まれているんだろうなぁと。
そんなことを改めて思わされました。
だったらってことであれば、タイトルには特に関係ないのですが、一応ハッピーエンドっぽかったし、さっちゃんがいる時の異人町のサバイバーで、一番にこの辺の歌(どこか神がかってる、ピュアな系統のラブソング)を歌ってもらいたいところですね 笑。
さっちゃんが歌ってもあまりに違和感がなさすぎる、ただの神曲+神ボーカル+神ビジュアルになってしまってギャルゲの世界のヒロインに転じてしまうだけなので、それはそれで普通に見てみたくもあるのですが、”如く”世界的にはあえて一番で。
♪あーおなじそらをみあげても、とか、♪なりあがるぜ~、を歌ってるときのカッコイイ方の声じゃなくて、「なかよし!!」とか「ガツンと行くぜぇ!!」とか言ってる方のだみ声で歌うとなお、”如く”っぽい味わいが出て来そうな所ではあります 笑。
ちなみにタイトルとの関連では、11章の”祭りのあと”あたり、ところどころ”自分で自分を顧みる桐生ちゃん”にピンズドっぽくハマる部分を持った歌でもあります。
選ばれた曲は皆多かれ少なかれ、強烈な個性を持つ歌ではあるのですが、作中決定的なシーンで不意打ち的にこの曲が流れて来たとしたら、ものすごい刺さり方したでしょうね。
最終章の”ありあまる富”については、自らの説得に心動かされ、身を護るために出頭する決意を固めた三田村=エーちゃんに連れ添って、四面楚歌の大抗議の中で一番が(足を怪我したエーちゃんをおぶって)警察まで歩いていくというシーンのBGMとなります。
その時はなんかやたらとハマる曲だななんて思いながら(特に深く感動するでもなく)画面を見ていたのですが、後からそのシーンを思い出す度時間差でじわじわ染みてくるような、そんな名曲と名シーンでした。
“一番の説得に心動かされる傷ついた悪党”というあたり、”7”の若がどうしても被って来るシーンでもあったのですが、どこかに常にあったという”ざわざわした感じ”が一切なくなって、ひとまず穏やかな世界が新たに始まった、という”終わりにありながらのスタート”ですね。
そこから話は変わって、エンドロール後の桐生ちゃんエピローグへ。
まず間違いなく万人に受けるエンドで、かつ刺さる人にはど真ん中に強烈にぶっ刺さりそうですが、自分的には”皆が望んでいたような穏やかさ”が増したように感じたという、そんなシーンでした。
結論として
・・・ということで、龍が如く8は間違いなく神ゲーでした。
というか、ここまでゲームにハマったのは随分久しぶりのことだったのですが、過去作ファンであればまず絶対に楽しめると思います。
仮に過去作知識がゼロだったとしてもどうでしょうね。普通に楽しめる部分が大きいと思います。
ゲームとしても面白いので、クリア後にも楽しめる要素が残されている雰囲気がありますし、なにより”凪いだ世界”の中から次回作が出来る雰囲気が伝わって来たというあたり、とても斬新でした。
“桐生ちゃんの思い出巡り”もドラマ含めてあと一枚でコンプリート出来るので、クリア後も時間を見て、残りの要素を片付けていこうかと考えています。
ドンドコ島も、結構ハマり要素大きそうですよね 笑。
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