【”アラブの春”から13年/SNS革命成就?】中東・シリアで反政府勢力が首都掌握、大統領は国外逃亡

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既にシリア政府は反政府勢力に対し、政権譲渡に応じる意向を表明しているようです

参考:外務省 “シリア・アラブ共和国“、独立行政法人国際協力機構 “「アラブの春」の影響が続く国々で“(※)、防衛研究所 “「アラブの春」後の中東情勢(2011~2015)の概況と考察“、BBC “シリア反政府勢力、大統領が逃亡し国は「自由になった」と主張 首都ダマスカス掌握と“、”シリア反政府勢力、中部の主要都市ハマを掌握 政府軍の撤退後“、NHKニュース “【速報】シリア 反政府勢力“首都解放”主張 アサド政権崩壊か“”アラブの春は「挫折」したのか“、読売新聞 “シリアのアサド大統領、国外に逃亡か…反体制派が「首都解放」宣言“ほか

シリアは共和制の国で、平時は形式上国家元首を大統領が勤めています。

そのため、”元首”であるアサド大統領が国外逃亡している今、議会の代表であるムハンマド・ジャラリ首相が政権を代行し、紛争の収拾に対して最善を尽くす旨をSNSで表明している模様です。

シリアでアサド政権による民意弾圧が鮮明となったのは、2011年以降、特に北アフリカや中東地域で活発となったSNSによる民主化運動=”アラブの春”弾圧を狙った動きが強化されたことに依っています。

この時にシリアでは政府軍と反政府勢力の武力衝突が激化し、現在に至る内戦状態となりました。

シリア国内には現在も多数の反政府組織が存在しているとされていますが、例えば政府軍にはロシア、イラン、中国などが(積極的、あるいは消極的に)加勢し、欧米諸国やトルコなどがこの動きに反対していた他、レバノンの”ヒズボラ”がシリア政府軍に加勢する、その外周ではロシアとウクライナの戦争があり、さらにはイスラエルがアラブ諸国と頻繁に武力衝突を繰り返していました(パレスチナの他、シリア政府軍に加勢していた”ヒズボラ”やイランなどを相手取った衝突ですね)。

参考:【中東情勢】イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ南部ラファの難民キャンプを空爆、20人以上が死傷【中東危機/第五次中東戦争?】イランがイスラエルへ大規模攻撃

一方で反政府組織も分裂を繰り返しますが、その過程において、2013年ごろからはIS(いわゆる”イスラム国”)が台頭するなど内戦の態様も凄惨となり、かつ混迷を極めていったことから、当初から早期の解決は難しいと見られていました。

強いて言うのであれば、国際社会の足並み=シリア内戦の解決に向けた対応策が全く揃わなかった上、それを激化させる”火種”がそこら中に転がっていたことなどが、内戦深刻化の要因にあたることです。

その”弾圧”の根源である大統領が国外逃亡し、シリア政府が崩壊に至ったことで、今後のシリアの政情は根本的な解決に向かうことが期待できますが、一方で“(かつて分裂を繰り返した)反政府勢力”側についても必ずしも統率が取れていると見られているわけでもないほか、周辺国が受け入れた”シリア難民”の数は、2020年現在で500万人を超えているとみられています(※)。

中東シリアに一日も早い平和が訪れることを祈りますが、本当に大変なのはこれからなのかもしれませんね。

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