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“ハマス”の次はイランの攻撃

この戦いが第五次中東戦争にカウントされることになるかどうかはともかく、23年10月より始まったハマスとイスラエルの戦争は、停戦交渉が進む現在も「ハマス側の指導者の肉親7名がイスラエル軍によって殺害される」など、血で血を洗うような戦闘が継続中です。

交渉相手の身内を7人殺害しても「軍が勝手にやったこと」として話しが進められている面もあるようで、もはや平時の常識は一切通用しない世界となっていることも感じさせる状態ですね。

参考：BBCニュース “ハマス政治指導者、息子と孫が空爆で殺害されたと公表　イスラエルへの要求は不変と“、ロイター “ハマス指導者の息子殺害、ネタニヤフ首相への事前相談なし＝報道“、CNN “ハマス最高指導者、イスラエル空爆で息子３人に加え孫４人も失う“

そんな世界で、新たにイランがイスラエルへの報復攻撃を実行しました。

参考：NHK “【速報中】イランイスラエルに無人機やミサイルで大規模攻撃“

といっても、この”報復”自体はある程度前もって予測済みのことではあったようです。

参考：BBC “バイデン氏、イランのイスラエル攻撃は近くあり得ると予想　大使館空爆めぐる報復懸念“、”イラン、イスラエルにドローンやミサイル発射　米軍が支援し「ほとんど」迎撃とバイデン氏“

4月の頭にイスラエルによって実施されたとみられているイラン大使館への攻撃に対する報復で、既にイランの最高指導者ハメネイ師によって”報復”が宣言されていたことが”予測”の根拠の一つだと思われます。

参考：ロイター “焦点：イラン、イスラエルへの報復に選択肢　全面戦争は回避へ“、”イランがイスラエル報復攻撃、200超の無人機とミサイル　安保理開催へ“、”ヨルダンがイスラエル支援なら「次の標的」＝イランメディア“

この問題でアメリカがイランと対立する立場に身を置いているのは、イランが核開発疑惑（参考：外務省 “イランの核問題“）を抱えているからだということで、”核”にまつわる普遍的な善悪とは別に、まずはアメリカとの利害対立があることが原因となっている形ですが、その一方でイスラエルの立場に焦点を当てると、イランにとって不利益となる不審事が「イスラエルを介して発生していると疑うに足る」ような状況が創出されてもいたようです。

参考：NHK “イスラエルとイランなぜ対立しているの？“

仮にそれ（＝イスラエルによる、対イラン攻撃）が事実だとするのであれば、冷戦時の世界の紛争に顕著だったという”代理戦争”的な性格が色濃くなって来るのですが、そもそもどういう背景があって”アメリカ・イスラエル”のパイプが機能しているのか、それは果たしてどの程度強靭な連帯なのかという点には、陰謀論の類も含めて様々な憶測が集まってくるところとなります。

とはいえ、”対中東各国”は建国以来のイスラエル自身の問題でもあるので、”代理”というとらえ方が相応しいかどうかは、個別の事案によってくる問題でもあります。

アメリカの利害によって動いたという色合いが濃い事案であれば、それは明白な”代理行為”に該当しますが、一方でイランには”対イスラエル”勢力のバックアップをしてきたと見られている過去もあるため、イスラエルが秘密裡に叩けるのであれば叩いておいても損はない相手です。

件の”大使館攻撃”に目的（＝攻撃側にとっての大義）があったとして、それはアメリカのためか、それともイスラエルのためか、一概には断定しきれないような、なんともいいがたい面もあるのかもしれませんが、もとよりそういう性質が含まれた”連携”であればこそ、客観評の落としどころにしてもなるべくしてそうなっていく（アメリカ・イスラエル両国の連帯にまつわる真相こそが、興味の対象となる）、という感じですね。

この点、１．古代ローマ以来のユダヤ人の離散の歴史や、２．近代・現代に至って二つの世界大戦をはさんだ後に”イスラエル建国”へと進んだことにまつわる事情、３．決定打としての戦後アメリカの中東政策が、アメリカ・イスラエル両国の連携の底流に存在する”前提”となります。

イギリスによるパレスチナ統治（この統治には、そこに至る過程にかなりの問題があったのですが、今は省略します）の後を受けた”アメリカ”の後見の下、イスラエルが建国されることとなった、この時に始まったアメリカの中東への介入が様々な問題を作りだして今に至る、という形になっています。

参考：国連広報センター “中東“

どこに問題があってこうなったのかというよりは、問題に問題が重なる形で今に至るといったあたり、一つの戦争の停戦が恒久的な終戦をもたらしそうな機運がないのが、中東における紛争の致命的に難しい部分であるとは判断できそうです。