【MLB】まもなくレギュラーシーズン終了です。ア・リーグタイトル争いの行方は?

sports/MLB

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

【MLB】まもなくレギュラーシーズン終了です。ア・リーグタイトル争いの行方は?

大谷選手の離脱とア・リーグ本塁打王、サイヤング賞争いの行方

大谷選手を追う、ロベルト選手とジャッジ選手

メジャーリーグでも日本のプロ野球でも、気が付けば三月に始まったレギュラーシーズンも残すところあとわずかとなって来ましたということで、スポーツ紙やSNS等でも、ポストシーズンの話題や各タイトル争いの話題が目立っています。

そんな今日この頃ですが、海の向こうのMLBでは、大谷翔平”投手”の日本人初のホームラン王がほぼ確定したようです。”ほぼ”確定、つまり実際に確定したわけではないものの、現実問題としてほぼ決まりだろうという状態になったということですね。

今期の大谷選手は怪我による8月下旬の離脱・シーズン終了が寂しいところではありましたが、思い返せば離脱以前の大車輪の大活躍には、中々すさまじいものがありました(参考:sportsnavi “大谷 翔平“)。

8月の時点で打者としてはリーグ本塁打王を含むチーム10冠、投手としても10勝5敗、防御率3.14、167奪三振で奪三振率も二けた(11.39)、WHIP1.06(=一投球回あたりの出塁者数。1.06は最上位レベルの数値です)と、”二刀流”で打者としてもホームラン王を視野に入れつつ、サイヤング賞候補にノミネートされてもおかしくない記録を打ち立てていて、離脱前には二度目のリーグMVPもほぼ確実と言われていました(参考:web sportiva大谷翔平のMLB史上初「2度目の満票MVP受賞」は確定? サイ・ヤング賞の可能性も“、full count大谷翔平、驚異のチーム11冠で終了か 右肘手術で25試合以上欠場でも異次元シーズン“)。

ホームラン王争いにしても離脱前までの数値で勝負していての”シーズン本塁打王”争いだということになってくるのですが、例えばホームラン数でリーグ二位につけていたアリーグ中地区・ホワイトソックスのルイス・ロベルト選手が大谷投手のホームラン数を抜くためには、残り5試合で8本打つ必要があるということで、並のペースで試合を消化していくとするとほぼ実現不可能な差が開いてしまっています。

ただし残念ながらロベルト選手は最終盤に怪我で離脱してしまったため、シーズン終了を待たずに”大谷超えならず”が確定してしまった形ですね(参考:日刊スポーツ “ロベルトが膝のけがでIL入り、今シーズン終了 本塁打王争いで大谷翔平を2位で追い上げも“)。

一方でア・リーグ東地区、ニューヨークヤンキースのアーロン・ジャッジ選手(2022年ア・リーグ本塁打王、打点王、シーズンMVP等)が9月27日の試合で2打席連続ホームランを放って”7本差”(残り4試合)まで詰めてくるなど、”無理ではない”ところでまずはルイス・ロベルト選手につけていて、”大谷にどこまで迫れるか”が見どころとなっています。

世界記録レベルの量産ペースであれば

残り4試合で7本差と考えると、並の打者間の争いであれば完全に順位確定の本数差ではあるのですが、そのあたりは元々普通じゃない選手だらけのリーグであるということで、最後の最後まで何が起こるかわからないのがMLBです。

長距離バッターの世界記録レベルのペースに照らしてみると、NPBではヤクルトの村上宗隆選手が昨年2022年に世界記録となる5打席連続ホームランを打っていますが(参考:NPB公式サイト “プロ野球史上初の5打席連続本塁打、三冠王も視野に入れるヤクルト・村上宗隆の豪打“)、”四打数連続”となるとMLBには結構な数のバッターがその記録を残しているようです。

つまり”一試合で4本差を詰めることが出来る”という計算は、MLBであればなくはないところとなってくるのですが、あくまでも机上の計算だということであれば、仮に一試合で4本詰めることが出来るのであればそれ以外の3試合で3本、一試合に一本以上で”逆転”が可能となる計算です。

これでもまだまだ現実味に乏しい”逆転タイトル獲得”ですが、一度の奇跡と短期間の覚醒で、一気に勝負の行方はわからなくなります。いずれにしても打者・大谷選手を追う立場の打者(この場合はヤンキースのジャッジ選手)が相当不利であることに変わりはないのですが、”もしかすると”まで完全にゼロになっているわけではないといったところですね。

10月2日追記:【MLB/祝】大谷翔平選手、日本人選手初のMLB本塁打王獲得!

両リーグのサイヤング賞受賞候補は?

“大谷投手にもワンチャンあった”と見る向きもある投手タイトル、ア・リーグサイヤング賞の方は、現横浜DeNAベイスターズ所属のトレバー・バウアー投手のUCLA時代の同級生、ニューヨーク・ヤンキースのゲリット・コール投手(sportsnavi “ゲリット・コール“)が自身の今季レギュラーシーズン最終戦で2安打完封勝利をおさめ(参考:ブルージェイズ – ヤンキース 12回戦)、初受賞がほぼ確実視されているようです(参考:スポーツ報知 “ヤンキースが完封勝ち ジャッジ 1試合2発で大谷との差は残り4試合で7本差“)。

余談として、周知のようにバウアー投手自身も2020年(シンシナティ・レッズ在籍時)にナ・リーグサイヤング賞を受賞していますが、この時のバウアー投手のライバルだったのが、当時シカゴ・カブスに在籍していた、現・サンディエゴ・パドレス所属のダルビッシュ投手(サイヤング賞投票で、バウアー投手に次ぐ二位)でした。

日本時代(北海道日本ハムファイターズ時代)のダルビッシュ投手の活躍を思えば、日本野球に適応後のバウアー投手の大活躍にしても、やはり納得のところといった感じですね。

一方で大混戦が予想されているナ・リーグでは、サンディエゴ・パドレスのブレーク・スネル投手、シカゴ・カブスのジャスティン・スティール投手、アトランタ・ブレーブスのスペンサー・ストライダー投手らが個人記録や”WAR”(個人選手のチームへの貢献度を現した指標です。後述)などの指標を巡って大混戦となっているようですが、混戦の中には今季よりMLBに参戦した、元福岡ソフトバンクホークス、現ニューヨークメッツの千賀滉大投手も含まれているようです(参考:日刊スポーツ “千賀滉大が大混戦ナ・リーグのサイ・ヤング賞候補に MLB公式サイトが紹介“)。

WAR=”Wins Above Replacement”とは?

WARとは?

ちなみにWARとは”Wins Above Replacement”を意味する、選手個人のチーム勝利への貢献度を数値化した指標です。

守備や攻撃に関する能力を数値化した上で、代替可能選手=その選手の代わりを務めることが出来る選手との比較によって、具体的な数値を算出します。

結構複雑な比較や数式に依っているので、ここでは詳細を省略します。

WARの利点として、ポジションの枠を超えてチームへの貢献度を数値化することが出来る点がしばしば指摘されますが(例えば”エース”と”四番”の比較も、WARを用いれば可能となります)、ざっくり言うとレジェンドクラスの活躍をした選手(ポジション問わず)が10前後、並のレギュラー選手(同じくポジション問わず)で2~3前後の数値となって、数値が大きければ大きいほど”優秀”=代えがたい選手であると判断されます。

fWARとrWAR

算出者毎に算出方法が分かれているのですが、有名なものにはfWAR、rWARがあります。

WARの前についているfとrは、それぞれ算出者のイニシャルを意味していますが(f=FanGraphs社の算出方法、r=Baseball Reference社の算出方法。リンクはそれぞれ公式サイトです。rWARはbWARとも表記されます)、それぞれ目安として、fWARであれば6.0以上、rWARであれば8.0以上がMVP級の選手、概ねその半分程度の数値がレギュラー上位選手の平均的数値であるとされます。

大谷選手の23年シーズンfWAR、rWAR

参考までに、大谷翔平選手の23年シーズンのrWARは10.0で、二位のムーキー・ベッツ選手(ロサンゼルス・ドジャース)の7.1を大きく引き離しています(参考:fullcount “大谷翔平、キャリア初の快挙…WARで10.0に到達 2位以下に大差つけ“独走””)。

fWARでも大谷選手は9.0、同じく二位のムーキー・ベッツ選手は8.2と共にずば抜けていますが(参考:FanGraphs社公式サイト “WAR“)、fWARの上位30位圏内を見てみると、9位~30位までは5~4ポイント台に数値が落ち着いています。

平均値(単純に総和を総数で割った数)ではなく中央値(全データを大小順に並べた時、ちょうど真ん中に位置する数値)で判断するのであれば、大体トップクラスの選手のおよそのところがそのくらいの数値になる(上位30人の真ん中で、見栄えのする数値が5.3)ということで、WAR判定だと並の上位選手をはるかに凌駕しているのが23年の大谷選手やベッツ選手だ、ということになってきそうですね。

タイトルとURLをコピーしました