【ゲームレビュー/PS4】龍が如く7外伝 -クリアの感想とその他-

龍が如く
"https://www.playstation.com/ja-jp/games/like-a-dragon-gaiden/"より引用

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【ゲームレビュー/PS4】龍が如く7外伝 -クリアの感想とその他-

発売前から楽しみにしていた”龍が如く7外伝 名を消した男”(公式サイト)、発売日に買って早速プレイし、クリアしました。

以降は時間と相談しながらサブストーリー等々を消化して、さらに深いところを探っていきたいと考えていますが、まずはクリア後の感想、さらには過去作との関連についての思うところをまとめてみました。

“龍が如く7外伝 名を消した男”率直な感想

簡単なあらすじと、過去作との関連性

広島ヤクザ・陽銘ようめい連合会との抗争(龍が如く6が描く世界です)後、身内同然に思っていた施設の子供たちを守るためとして、自らを死んだ存在とする(=死んだことにして社会から姿を消す)ことを受け入れた主人公の桐生一馬(以下、桐生ちゃん)が、昭和日本のフィクサー・大道寺稔(元海軍将校のキャリアを持つ大物政治家)率いる影の組織”大道寺一派”の構成員、”浄龍じょうりゅう“として過ごす時間が今作の舞台です。

“6”で残された環境下、”7”で展開される世界が絡んでくることになるということで、時系列的にはナンバリングタイトル”6”と”7”の間、物語としては”6”と”7”の世界を中心として、来年1月26日に発売が決定している”龍が如く8”(公式サイト)の世界に至るまでのパートが描かれています。

“7外伝”前の事情として、大道寺稔は、”6”の世界では(自ら命じて立ち上げさせた)陽銘連合会を統率する黒幕として(自らの老いによる死を間際に控えた状態で)登場しますが、”7外伝”の世界ではすでに故人であり、”大道寺一派”という組織の名称にその名を残すにとどまっています。

他ならぬ桐生ちゃんが大道寺一派の構成員となっているために”6”の世界が絡んでいるように見える、ひいては”7外伝”の世界全編に”6”の世界後の倦怠感が重く横たわっているように見えなくもないのですが(特に主人公である桐生ちゃんの周辺を取り巻く事情ですね)、ゲームを進めていくにあたって”6”の世界との絡みは実質その一点(桐生ちゃんにとっての”浄龍”縛り)のみ、その一点が”7外伝”でも限りなく重くのしかかっているという事情があるにはあるのですが、それ以外の部分で”6”の振り返りはほぼありません。

“6”の世界のその後ということでは、「染谷亡き後の南雲と清美さんはどうなっているんだろう、娘さんは元気にやっているかな?」等々も気になるといえば気になるところではありますが、そこらへんは既に遠い世界のお話となっているんですね。

ということで、ここ(=”6”の背景)は特に知らなくても問題ない部分で、「桐生ちゃんは死人になることで東城会との縁が完全に切れた、ある意味悠々自適なのかと思っていたら、またしても危ない組織にゲソをつけてしまったんだな」くらいの理解でも普通にサクサクゲームを進められます。

一方、”5”の世界で初登場した関西ヤクザ・近江連合の大物幹部である渡瀬勝は、”7”及び”7外伝”の世界ではキーパーソンとして登場します。

役どころとしては、”極道組織(東城会と近江連合)の解散”を進める中心人物です。

ナンバリングタイトルの常連である東城会の六代目会長・堂島大吾(以下、大吾)や、同じく東城会の大物幹部である”真島の兄さん”こと真島吾朗、さらにはやはり東城会の大物幹部であり、真島の兄さんの兄弟分である冴島大河共々、”7”及び”7外伝”の世界では、”7”の主人公である春日一番一行と共闘します。

渡瀬と大吾が狙う、東城会・近江連合の解散のための戦いですね。

この戦いに渡瀬の依頼によって渡瀬・大吾サイドで参戦するのが”7外伝”主人公の桐生ちゃんで、外伝の外伝たる所以がまさにこの点にあるのですが、”7”本編では何の前触れもなく割と唐突に出て来た感もある桐生ちゃんが、満を持して登場してくる様子が全編に渡って描かれます。

端的に言うなら”7外伝”はそこまでの物語であり、かつそこからの物語ですということになる感じで、”7”を中心とした過去作で描ききれなかった世界が、桐生ちゃんを中心としててんこ盛りに盛られています。

過去作(特に”7”や”0”、”極1”、”極2”)ファンであれば、プレイ必須の内容ですね。

アクションゲームとして

一言で言うなら、かなり面白かったです。

ゲーム評の大半がシナリオ要素(ストーリー・キャラ考察)で埋まってしまう嫌いがある”龍が如く”シリーズ、最新作の”7外伝”はアクションゲームなのですが、仮にアクションゲームが苦手だったとしても、そういう人のために用意されたビギナーモードがあります。

ビギナーモードは「自キャラ=主人公の桐生ちゃんを敵に向けた上で、ボタンを滅茶苦茶に押し続けているだけでなんとかならないだろうか」レベルでも進められるモードなので、苦手な人は”ビギナー”で進めていけば、問題なくエンディングまで辿り付けるのではないでしょうか。

なんだかよくわからなくともボタンをデタラメに押し続けると、桐生ちゃんがものすごい動きでバンバン敵をぶっ飛ばしまくる、これはこれで中々面白いなどと思えるレベルでグラフィックがすごく、繰り出される技も多彩なので、あまり飽きも来なかったんですよね(飽きが来る前にメインストーリーがテンポ良く進み、最短コースであればそのままクリアまでたどり着けます)。

正直なところ、格ゲー部分については取り立てて個人的に思うことがほぼ無いといえばないような状態なのですが、それでも面白いかつまらないか言えば間違いなく面白かったですし、初心者でも十分楽しめるゲームになっている点については、好感度もかなり高かったです。

アクションゲーム好き、特に格ゲー好きという人であれば、間違いなくその分の評価が加算されることになるのではないかと思います(もちろん、上手い人用のモードも用意されています)。

“ストーリー重視”ゲームとして

ナンバリングタイトルの行間補足

“7外伝”は良くも悪くもタイトル通りの”外伝”で、スピンオフ的な要素が強い作品です。過去作のファンに向けて過去作の行間が作られているので、過去作にハマったファンであればあるほどハマれる要素は強まります。

真新しさはゼロではありませんが、概ね勝手知ったる組織・世界の中で話しは進みますということで、”既知のこと”としてすっ飛ばされる要素が少なからず出てくるあたりも特徴です。

陽銘連合会や横浜星龍会についてはもちろんのこと、東城会や近江連合といった”如く”世界の中心組織についても、少なくともメインストーリーでは突っ込んだ描写はほぼありません。横浜流氓ハンピンリュウマンやコミジュルに至っては名前すら出て来ませんといった感じで、全て最低限のところで話しが進んでいきます。

その反面、”極2”のラスボスである郷龍会・郷田龍司についてはメインに近いところにサブストーリーとして関連ストーリーが置かれていたりするのですが、この辺りも過去作知識ゼロだと中々キツいところかもしれません。

「いや、それ、誰?」となるのと、「おお!郷田龍司!”OF THE END”(龍が如くのスピンオフ作品です)や”維新”(同)以外の世界でも生きてたのか?」となるかで、大分テンション変わりそうですからね。

作品のボリュームやシナリオの分厚さ等々からは、7外伝単体でも普通に楽しめるであろうゲームなのですが、過去作を知っている人、ハマった人にとっては改めて龍が如くの世界を楽しめる、過去作のスキマを埋めてくれる作品で、人によっては”神パッチ”だと感じる可能性が高いゲームでもあります。

具体的には「桐生ちゃんのファンや、”7″までの龍が如くの世界を改めて味わいたい人、つまり従来のファンの中でもどこかしらに濃さを持っている人たちにとっては」といった感じですが、その意味では、はじめからある程度の評価のブレ幅が考えられるタイトルでもありそうです。

普通の良ゲー~神ゲーの間に評価が散らばって来ることになるのではないかと思えますが、”単体でも十分楽しめるゲームが、過去作の隙間をピッタリ埋めてくれる”、このあたりが7外伝の持つ最大の魅力です。

中でも特に、桐生ちゃんを取り巻く事情

ネタバレは一応伏せますが、割と見所だらけとなる終盤の展開でも、特に全てが終わった後のエピローグ的なシーンに、かなり衝撃的な描写が含まれています。

主人公・桐生ちゃんの、特に内面の深層に関する描写ですね。

ここでいう”衝撃”とは、”如く”世界的には意表を突かれる形でキツかった(いい意味で)という類のもので、ある意味生半可な暴力シーンなどより余程強い刺激だったように感じました。

そもそもこれまでのタイトルで桐生ちゃんの表情の変化が一番見られるのはどこだったかといえば、ポケサーや会社経営など、ミニゲームの勝敗絡みで出てくるのが常だったという記憶もありますが 笑(それ以外の本編ストーリー内の桐生ちゃんということであれば、お馴染みとなっている「何?」「なんだと?」「どういうことだ?」等々というセリフと共にある、凄んだ顔やイカツイ表情だらけですからね 笑)、その分、シリアスなシーンでガチられると滅茶苦茶刺さります。

というか、刺さりました。

インパクト的には、ある意味シリーズ最大級の爆弾だったといっても過言ではないレベルです。

今作エピローグは本当に、”6”までの世界で身も心もボロボロになってしまった桐生ちゃんにとっての、癒しの時間が描写されている感じですね。

最後の最後が”続”で終わっているあたりも、よかったです。

ただしそのようなシーンにしても、”7外伝だけ”(過去作知識ゼロ)の世界で考えるのであれば、果してそこまで刺さるものかなというあたりに疑問符が付くのですが、この点、多少なりとも面白いと感じた”7外伝”からのプレーヤーの方は、プレイ中でもプレイ後でもいいので、改めて過去作(特に、7、0、極1,極2あたりですね)をプレイするか、あるいはYouTubeで実況動画かムービー動画の視聴推奨です。

それだけで、倍は楽しめること必須ですよ。

メインストーリーの過去作との関連、今後の展開予想

過去作評と”7外伝”

“龍が如くシリーズ評あるある”としては、ナンバリングの0と7人気が突出していて、リメイク作品である極1、極2がそこに続くというものです。

ではそれ以外はどうかというと、3と4の人気もなんだかんだでボチボチ(前三作に比べると、可もなく不可もないところに評が落ち着いているようには見えます)、ただし5と6については極端に評価が分かれる(普通に面白かったと言っている人もボチボチ見かける半面、強烈な”アンチ”を見かけることがしばしばある)という形に続くパターンをよく見かけます。

なぜかといえば、5と6では、桐生ちゃん(や、実質”桐生ちゃんの義理の娘”状態のヒロイン、澤村遥)がかなり悲惨な転落をするため、このことを許せないファンが作品自体に辛辣な評価を与えていて、その結果、特にネット評では大体5と6の評価が相対的に低いものとなっています。

ただ、だからといって全部が全部の評が徹底的に5や6をこき下ろしているのかというとそんなことは全く無くて、5も6も、印象としてはいずれも高評価を付けている人が目立つ中で、一部にとても辛辣な意見が存在している事実がある、という感じです。

どちらが多いというよりは、そういう割れ方をしている事実があるという印象ですね。

辛辣な意見の核は、およそ「なぜ桐生ちゃんや遥がわざわざこんな目にあわなければならないのか」といったあたりに収れんしますが、逆に高評価を与えている評は「それでも筋を通して大切なものを守っていく」桐生ちゃんの姿勢に感銘を受けてのものがほとんどです。

若い感性と老練な視点の相違が生み出したギャップ、といったところでしょうか。

“7外伝”の世界は、要はこのファン評に対するアンサー的なコンセプトを持って構成されているように見える、かつ正面からストレートに描いた描写があるという印象を受けました。

最後の最後に訪れる、桐生ちゃんにとっての癒しの時間など、まさにそこですね。

“7外伝”と”8”以降

今作の抗争自体の顛末は、ラスボスコンビである獅子堂康生と三代目・西谷誉の最後(共に大道寺一派に生け捕りにされ、俗世間から切り離されるという展開)が、”8″以降の世界で何らかの役割を果たすことになるのであろう予感満載、といったものになっています。

この二人は、今後の”如く”世界でも、どこかしらでストーリーの柱となって行く部分がもしかするとあるのかもしれません。

獅子堂は、過去作振り返ると”7外伝”で死んでしまってもおかしくはないキャラのようにも見えたのですが(キャラやポジション的に、”3”の峯や”6”の染谷に結構近いものを感じました)、それでも敢えて生かされたということで、少なくとも”8”でのポジションはほぼ確定しているのでしょう。

三代目・西谷は、”見るからに何かがイカレているキャラだ”という意味では、強いて言うなら特に”極1”の真島の兄さん臭がしなくもないキャラではあるのですが、そもそも真島の兄さんのイカレキャラ自体が”初代・西谷誉”を半分引き継いでいるあたりと照らすのであれば、初代西谷でもない、かつ真島の兄さんともキャラが被らない、それでいて王道的な需要がある、そういうキャラに成長できるのかどうかがハードルになりそうです。

どこか無条件で生き残りそうな獅子堂に比べると、皮肉なことに復活が厳しそうに見えなくもない三代目西谷というあたり、少なくとも現時点での如く世界的には、ラストの顛末で立場の逆転を感じさせられました。

西谷の今後の生き残りについては”獅子堂との絡み方次第”を感じなくもありませんが、案外獅子堂が桐生ちゃんを継ぎ、西谷が真島の兄さんを継ぐ(その場合、7外伝の花輪喜平が7までの大吾的なポジションにピッタリ来そうではあります)というような形になる未来が、もしかするとあったりするのでしょうか。

最終的には、あるいはなんだかんだで今後いいコンビになっていくことになるのかもしれません。

・・・等々と、現時点でも色々思うところはあって、サブストーリーを進めていくにつれてまた思うところが出てくることになるのかもしれませんが、とりあえずやってよかったと心底思えたゲームで、なおかつ来年早々の”8”の発売が楽しみになったゲームでした。

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