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違法賭博、大規模窃盗などの疑いがかかったことによってドジャースの(というよりは大谷翔平選手の)通訳を解雇された、水原一平氏の問題。
巷では大谷選手の黒幕説(賭博をしていたのは大谷選手で、一平氏は身代わりとなった、等々といった完全なフェイク)から一平氏の単独犯説まで、実に幅広い推論がまかり通ったりもしたようですが、この件に関して大谷選手がコメントを発表しました。
参考:The answer “【会見全文】大谷翔平、水原通訳の違法賭博に初めてコメント 質疑応答なし「彼が口座からお金を盗み、皆に嘘をついていた」“
質疑ではなく、ただ自身の見解を主張する場を設けたという形ですが、曰く、ギャンブル依存症だったという一平氏が全て自身の判断で、周りを騙した上で大谷選手の口座から巨額のお金を度々引き出し、借金を膨らませて行ったとのことです。
恐らくは事件を知った後の大半の人が、直感的に「こういうことではないかな」と思ったのではないか(ただしこれまで表に見えていた一平氏の言動的に、にわかにはそれを信じがたかった)、というところに落ちて行った感じの、意外性ゼロといえばゼロに近いような答えではなかったでしょうか。
意外性があったといえば、「一平氏がそこまでやっていたのか」というあたり(賭博絡みの送金を無断で行っていた他、件のespn記者との90分の電話会見についても、大谷選手にも、大谷選手の代理人にも無断で応じていた)ですか。
参考:ESPN “Shohei Ohtani, his interpreter and wire transfers: A timeline“
かなりそれっぽく聞こえた上、そこが根拠となって様々な憶測を呼ぶことになった「賭博の借金肩代わり」説にしても、結果論的に振り返れば話の筋自体が甘々、かつご都合主義的で(身勝手なギャンブルに溺れて首が回らなくなってしまったという、残念な窮地に立たされた一平氏の切ない願望にのみピッタリハマって来るという主張ですね)、どうにも大谷選手の側から出てくるような言動には見えないところがなくもありません。
そもそも事後に即専門家を絡めることができる人間であれば、違法賭博の胴元相手に自腹切って他人の借金建て替えなんて、まずやらないでしょう(仮に自分がまきこまれたとしても、はじめから専門家任せにしないことの理由がないですからね)。
このあたり、今まさにドツボにハマっている人間とそうでない人間の温度差が露骨に出ていることを感じさせるところでもありそうですが、こういう会見対応が出来る大谷選手であれば、仮に借金の事実を事前に聞かされていたとしても、結局はこういう形になったのではないでしょうか。
賭博絡みの理由から巨額のお金に手を付けた時点で、まあ、情とは別の線は引かれますよね。
そこが理由となって絶縁するに至るかどうかはさておき、それまでの関係を全てリセットすることになったとしても、無理からぬところです。
一平氏の側によって立った上で事件を見るのであれば、これまで人望の厚い通訳として問題という問題なしに大谷選手と二人三脚の関係を築いてきた、いわば”人気通訳”だった一平氏を、ごくごく短期間で膨大な額の借金漬けにしてしまったという胴元側に対して、これはこれでかなり問題がある行為じゃないのかといったことを思わなくもないのですが、だからといってそこに大谷選手を絡めて語るってことが許される場面でもありませんし、仮に同じような主旨のことを一平氏が言ったとしても、恐らく聞く耳を持つ人は、それほど多くはないでしょう。
ということで、なんとも後味の悪い事件となってしまいました。
ただやはり心配なのは、大谷選手のメンタルですね。色々と相当キツい問題でもあるでしょう。ことがこうなった以上、シーズンインにあたって自分の方から気持ちを切り替えていかないとどうにもならない問題でもありますし、その辺は他の選手以上にうまくやりくりできるのでしょうが、これからもまたいつもどおり、何事もなかったようにとはいかないかもしれませんが、グラウンドで大暴れしてほしいところです。
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