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最高の勝ち切り方で26年ぶりの日本一!
CS下克上からの日本シリーズにて、”史上最大の下克上”達成
DeNAベイスターズ公式YouTube “「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」優勝”
後から随時小出しにしてくれる球団公式情報には、「かつてのチームになくて、今のチームにはあるもの」を一つ一つしっかり教えてくれているのではないかというような要素がこれでもかとばかりに詰め込まれていることがありますが、CS勝ち抜けの翌日夜に公式からリリースされた最高の動画も、そのうちの一つでした。
参考:【祝/2024baystars】CSファイナルを4-3で制し、7年ぶり4度目の日本シリーズ進出!
「どうしてあんなギリギリの戦い方が出来たのか」の理由がここにあったという形ですが、一つには新規のファンが持ち込んで根付かせた空気がチームを強くしたっていうの、すごいあるように思えます。
今のDeNAベイスターズがオールドファンに対する包容力(もっというと、横浜という街との一体感)を併せ持ったチームであるからこそこういう見方も出来るのかもしれませんが、昔からのファンが云々というよりは、明らかに”新しい勢い”がここまでチームを引っ張り上げているんだという部分、確実にあるんですよね。
思えば、Fマリノスやブレイブサンダース(ブレイブサンダースは、親会社が同じくDeNAで、横浜のお隣川崎を本拠地とするプロバスケットボールチームです)とのコラボが行われるようになったのもDeNA以降のことですが、そうやってどんどん取り巻く環境が華やかになって行けば、それはチームだって変わって来ようというものです。
参考:横浜Fマリノス公式サイト、川崎ブレイブサンダース公式サイト
ファン歴長いとチームの暗黒時代をいやというほど知っている分、観戦していても展開によっては簡単に諦めが入ってしまう部分がある、対してファン歴の短いファンは(酷い時の)自チームの弱さがそこまで身に沁みていない(?)部分があるので、簡単にあきらめるということをしないし、負けても割と本気で悔しがる部分がある、極論すれば割とガチで全てを”トゥモアナ”で割り切れてしまう部分があるように見える、みたいな感じでしょうか。
あくまで概ねの傾向としてはそういう風に感じる部分があったという個人の感想レベルの話しでしかないのですが、今のファン界隈では新旧の雰囲気がいい具合にミックスしている部分があるように見える、さらにはそれがチーム自体にも好影響を与えているように見える、という話しでした。
ということで、I Love YOKOHAMA!
おめでとうベイスターズ!やったぜベイスターズ!
【26年ぶりの栄冠】横浜DeNAベイスターズ「SMBC日本シリーズ2024」優勝!日本一の瞬間や三浦大輔監督の胴上げなど広報カメラでお届け!(ベイスターズ公式)
【横浜らしさ全開】26年ぶり日本一のビールかけ!「前回とは比にならないぐらいヤバイ」歓喜の様子をご覧ください!!(ベイスターズ公式)
ベイスターズ日本一・公式特設サイト
MLB・シカゴカブス所属の今永昇太投手(前横浜DeNAベイスターズ所属)からの祝福メッセージ(球団公式Xより)
以下、観戦しながらボチボチ書いていた観戦記を、とりあえずの形にまとめてみました。
シリーズ開幕!早々にホームで二連敗:3-5,3-6
そんなこんなで迎えた、福岡ソフトバンクホークス相手の日本シリーズ。
今回も、当初の下馬評では圧倒的にホークス優勢でした。
参考:full count “DeNA下剋上の条件は? 戦力的には鷹が有利も…専門家が挙げる“キーマン”“
そんな評に引きずられるかのようにはじまった、開戦早々のホームでの二試合。
第一戦は3-5、第二戦は3-6と、スコアだけ見るといい感じに接戦ぽいスコアでズルズル連敗します。
なのですが、この二試合に関しては完全に力負けでしたね。
ベイスターズ的にも一矢報いているとはいえ、まあこんなものか、やっぱり相手の方が上だよねというように、なんだかんだで下馬評通りに進んでしまっているように見える、そんな連敗でも確かにあったのですが。
率直に、思っていたのとなんか違うなというのも、かなりありました。
格上チームに見せつけられた力の差が痛い敗戦だったというよりは、あり得ないエラーやなんとなく湿った打線など、シーズン中にも度々見られたという無気力モードに支配され、結果自ら勝ちを手放しに行った感が無きにしも非ずとなった連敗でした、というイメージが強かったんですね。
相手チームの強さ云々以上に、まず気になったのがその部分でした。
もっとはっきり言えば、タイガースやジャイアンツに勝ったチームとは別のチームに見えるようにも感じるんだけど、これは気のせいなのかな?
ってことですか。
要は今シーズン中絶好調のあとにしばしば見られたという、ズルズルと続いていく深刻な連敗時の空気に近いことを感じさせるチーム状態になってしまっているように見えたということで、ああ、またですか・・・とは思わなかったにせよ、「ここにきてこうなったか~・・・」と。
さすがにちょっと嫌な予感はしましたよね。観戦しているファンとしても。
ポストシーズンは短期決戦なんで、息吹き返す前に終わってしまうなんて、よくあることですから。
参考:【Baystars/三連戦三連敗】見所自体はちょちょいあれど、ここ一番の被スイープはいただけません、【Baystars】3年ぶりの9連敗で、現場もファンも相当メンタルに来ているであろう今日この頃
で、結局のところ何が理由になっているのかといえば、この手の問題ってとどのつまりは選手層の厚薄(層が薄ければ選手の入れ替え・選手間の競争は現実問題不可となるため、空気の入れ替えがしにくくなって、どれだけチーム状態が悪くなっても、来る日も来る日も同じようなメンツで戦わざるを得ない)に帰着させることが出来るであろう問題となって行くので、何とかしろと言われた時に、必ずしも簡単に解決できる問題でもなくなって来るんですね。
それでも今年のベイスターズではまだ改善されていたようにも感じられましたが、こういう”むらっ気”のようなものは、元々”ホエールズ””ベイスターズ”というチームが伝統的・慢性的に持っていた、持病のようなものだともいえるでしょう。
観戦者的には「敗因、そこ?」って感じですが、象徴的だったのは、第二戦開始早々、ホークス4番の山川選手に対してカウント1-2(=バッターを追い込んだ状態)から大貫投手が投じた、ほぼど真ん中に入って行ったチェンジアップ(カーブ?)。
ボールが打者に届く前に「うわあああああ!(駄目だ!)」となってしまった、次の瞬間にはレフトスタンドに先制2ランホームランをぶち込まれていたという、悪夢のような一発ですね。
山川選手のスイングと併せて判断する分には打ってくださいと言わんばかりのホームランボール(恐らくは失投だったのでしょう)でしたが、その大貫投手に典型が見えたほか、一旦湿り出すと中々しつこい牧選手の冷凍モード、体力的な衰えが隠し切れない(それでも後継不在のために頑張らざるを得ない)宮﨑選手のお疲れモード、攻守共突然乱れ始めるという森敬斗選手の”逆確変”モード等々。
その上で、外す時の三浦采配でよく見られるという(投手への信頼が裏目ってしまう形の、根拠がいまいち不明瞭な)男気?継投策や、投手陣の大黒柱として期待されていた、左腕エース東投手の欠場などなど。
心身に渡るCSの連戦疲れもあったのか、攻守にわたって良からぬところがあふれ出してしまえば、それは投打のバランスも自ずと狂ってくるのでしょうが、早い話し、チーム状態があまりよろしくない状態で迎えることになった日本シリーズみたいな感じで、ホークスがなんだという話しになる前の部分で負けてしまった感も弱くはない、そんなハマスタ二連戦ではありました。
2017年ホークスと2024年ホークス、2024年のベイスターズ
ところで。
2017年ホークスは、シリーズ終了後に「ヤスアキ投手のツーシームを狙い打った」内川選手の話を(高木豊さんの動画で)聞かされたなんてこともあったので、終わった後にさらにダメを押された感も強かったですが、“最強”だ”完全体”だと評されていたチームがその下馬評通りに本当に強かった、なんならその評価が実際のチーム状態で上書きされることになったみたいなチームでした。
もっとも、結局あの年にしてもベイスターズは致命的なエラーで負けた(かつ、ツキも味方しなかった)みたいな部分、なくはなかったのですが、だったらノーエラーなら確実に勝てた相手だったのかといえば、「仮にノーエラーであれば第7戦にもつれ込み、お互いの総力戦となってベイスターズにも日本一の目が出てくる」みたいなところが精々で。
やっぱりどう贔屓目に見ても、戦力自体はホークスの方が確実に一回り二回り上で、仮に自分が選手であればと考えた場合、それこそ武者震いしそうなメンツを相手にしている感が強烈だったんですね。
参考:【横浜DeNAベイスターズ】2017年のベイスターズ -ポストシーズンの戦い-
ベイスターズとしてはノればハマる重量打線+左腕トリオ(今永濱口石田)がどこまでやれるか、結局は勢い(+ラミレスマジック)主体だったチームであることは否めず、ひいきの勝ち負け以前に、純粋に試合を見るのが楽しみなプロ野球(結果負けるのは仕方ないにせよ、どこまで食い下がれるかが楽しみだった)みたいな、そんなシリーズでもありました。
対して、「今年は?」という。
うまいこと言語化できない部分もありますが、この時点では色んな意味でなんとなくモヤったまま、シリーズの舞台は福岡へと移ることになりました。
第三戦@福岡と、そのほか諸々 -場外の事情-:4-1
迎えた福岡でのシリーズ第三戦。
後から振り返れば、試合前や試合中、さらには試合後に、シリーズの趨勢を決定づけるような出来事が幾つかあった試合でもありました。
試合前ということでは、まずは2017年のシリーズを経験し、ホークスの日本一を眼前に見て悔し涙を流したという気合の塊・桑原選手の(キャプテン・牧選手が招集した選手ミーティングでの)カツ入れがありました(実際、桑原選手は試合でも”シリーズ男”となって大活躍を続けます)。
参考:Number web “「普通にやったら負ける」DeNAを激変させた選手ミーティング…筒香嘉智が提案、牧秀悟が招集、あのベテランの発言で「ムードがガラッと変わった」“、”「負けて悔しくないんか?」DeNAを“日本シリーズ王手”に導いた桑原将志の猛ゲキ…“全員一丸”を引っ張るガッツマンの「7年前の悔しさ」とは“
シリーズの福岡移動後に色々ありすぎたが故に、このことが若干薄らいでしまっているようにすら見える面も無いわけではないように思えますが、ポストシーズンの戸柱捕手やケイ投手の覚醒、さらにはオースティン選手の”4番としての働き”と同じくらい、ベイスターズ日本一の決定的要素に含まれる部分ではあるでしょう。
今年の日本一は、DeNAベイスターズ一期生である“ガッツマン”桑原選手の絶好調とけん引あってこそのものでしたということで、今大会のMVPは桑原選手が獲得することになりました。
参考:full count “DeNA桑原将志が日本シリーズMVP 5戦連続の計9打点&全試合安打…攻守で牽引“
そんなこんなで、方々から臨戦態勢で福岡入りしていた様子が伝わってくるベイスターズサイドではありましたが、対するホークスサイドはどうだったか。
この点、少なくとも日本シリーズ観戦者にとっての空気が大きく変えられた出来事として、ホークス某コーチの”失言”問題がありました。
発言主の悪気の有無とは別に、試合前にチームのスタッフが相手チームの現役選手の個人名(ベイスターズ東投手、オリックスバファローズ宮城投手など)を挙げた上でその優劣を語る、というデリカシーにかけた行為は、失言になりこそすれ、少なくとも今日日の世情の中では、チームにとってのプラスとなる要素は何一つ無い行為だったといえるでしょう。
覆水盆に返らずとはいえ、実に迂闊な発言でした。
実際、この発言は当のホークスサイドにとって、”チーム関係者の悪評がネット界隈に広がってしまった“(その上、”評価”された東投手の下にも話が届いてしまった)という形での、余計な負担となります。
時あたかも、第三戦前夜の話しですね。
ホークスサイドは試合開始前にして要らぬハンデを自ら背負ってしまった形となりますが、さらに当日の試合(第三戦)を通してということでは、ベイスターズ先発・東投手の抗議によって発覚した”指笛”問題がありました。
東投手が投球モーションに入ったタイミングでネット裏から指笛を鳴らすという、(ホークスファンによる)応援に擬態したプレイ妨害行為”が繰り返し行われていたことが、ファンの間で物議を醸します。
参考:full count “DeNA東に観客の“妨害”行為か…自粛求める異例のアナウンス 日本S一時中断に場内騒然“
この点一般論として、自身の常識で”観戦中の応援”と”妨害”を区別できないようであれば、それは残念ながらそもそも観戦者として球場で観戦する資格がない状態にある(まずはそこをきちんと学び取ってからの話しです)ってことではあるのですが、”応援でも散々うるさい鳴り物を使って云々“あるいは”指笛がダメならパリーグ某チームの応援も云々“という、事態を曲解した対比を持ち込むことによる難癖レベル=味噌も糞も一緒的な主張も(一部ファンの間では)なされていたようで。
残念ながら、こういう空気が元々優勢だった”アンチホークス”の勢いをさらに強めてしまうことにつながります。
これを”不可抗力”と言っていいのかどうかはわかりませんが、ホークスにとってはどうしようもないといえばどうしようもないところから自然発生的に生じてしまった形の”ハンデ”であり、前記したコーチの失言とも併せて、終わってみれば今シリーズのホークスにとって、ツキの無さの象徴のような出来事となりました。
ちなみに、少々余談となってしまいますが、指笛には“サイン盗み”が行われる場合の主要な伝達手段にもなり得るという、もう一つの深刻な問題点があるのですが、ネット上の一般意見や、一部解説者による解釈では、東投手が神経質になったことの本音には”サイン盗み”を意識した部分が含まれていたのではないか、ということも言われていました。
“サイン盗み”とは“サイン”の形で出されるバッテリー間の配球確認、あるいはベンチからバッテリーへの配球指示、さらには攻撃側の攻撃指示等々を敵チーム側(打者・走者を筆頭に、ベンチ外の関係者含む)が盗み見て、その情報を味方選手に伝達する行為全般を指します。
参考として、MLBでは、2017年~18年にかけて行われていたことが2019年に発覚したというヒューストン・アストロズのサイン盗みで、“ゴミ箱を叩く”やり方が採られていたということが広く知られました。
グラウンド外の人間を巻き込んだ(2010年代にアストロズがやったような)”サイン盗み”は”スパイ行為”と称されることもありますが、球場のどこかしらで相手バッテリーのサインを盗んだチーム関係者が、まずはネット裏やベンチ付近で待ち構える”関係者”に何らかの手段で伝達、その情報を受け取った“関係者”が、今度は大きな音(ex.アストロズのサイン盗みでは”ゴミ箱”を叩く音。その他の常套手段としては、たとえば指笛による音)を出してベンチにそれを教えるという方法ですね。
野球の試合では全出場選手が全くばらばらに動いているわけではない、選手個々の判断に加えてベンチの指揮官の指示の下に動くという戦略的な面があるからこそ、特に両チームにとっての戦略の要となるバッテリー間の配球情報が狙われることになるのですが、諸々の経緯・議論等々を経て、少なくとも今現在のNPBでは、サイン盗み(前記”スパイ行為”含む)は全面的に禁じられています。
ざっくり言えば、行為の方向性的にアンフェアなものになりやすい上、観戦者的にも気分のいい行為ではないだろう、位のところが”禁止”の所以ではあるのでしょう。
実際、東投手の指摘で指笛が止んで以降の試合展開がどうだったのかというと、端的に結果だけを言うのであれば、第三戦ではホークス側のヒットは直後の柳田選手の一安打のみ、翌第四戦では、好投した先発のケイ投手他ベイスターズの3投手の前に、5安打0得点の継投完封、続く第五戦でも継投完封を喫しました。
福岡帰還後に下り坂となっていた打線が、とうとう「やってるな」と言われても仕方ないようなところにまで落ち込んでしまったということで、この辺りは本当に泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目という奴でしょうか。
単なる完封負け、連日の0封に、おまけのケチがついてしまった格好ですね。
ちなみに個人的には、福岡での三連戦に関しては、あくまでベイスターズの方が強かったから順当にベイスターズが勝つことが出来た試合だった、と見えました。
相手のホームで自チームのダメなところを何度か晒してもなお、相手にリードさせること無く勝ち切ることが出来たという、そんな試合でしたし、東投手の投球内容にしてもいつもの東には過ぎた出来だったという投球内容では全く無かった上、反対に、極端に悪い内容でもありませんでした。
この点に関しては、ほぼ、翌第四戦の投手陣についても然り。
あくまでベイスターズとしてはいつも通りやった(+投手力については、CSからの流れでいつも以上だった投手もいた)、その結果勝った試合だと判断できるところではありましたが、反対にホークス側はどうだったでしょうか。
前記した”ハンデ”に加えて、試合終了後の小久保監督の、どこか異様というか不自然さを感じさせるコメント(東投手の”指笛抗議”にベンチ一同大爆笑など)があったことなどからも、あくまで推測の域を出るものではありませんが、総じてチーム状態の悪さを連想させるようなものが目立っているようには感じました。
結論として、ハマスタでのベイスターズがそうだった?ように、ホークスはベイスターズと対戦する以前のところで自分たちの気の持ちよう(?)、あるいは取り巻く空気に負けてしまった、そんな感じの展開となって行きます。
“試合外事情”ということでもう少し言うと、翌第四戦の試合前。
試合前の両監督の挨拶時、帽子を取って頭を下げた三浦監督に対し、ツバに手を当てただけで礼を済ませた小久保監督(MLBで、対戦前の今永投手と大谷選手が交わしたことで話題となった形の挨拶ですね)、という対比が話題になりました。
もちろん、それぞれの監督にとってのそれぞれの挨拶の背景には、それぞれの監督が「そうしよう」「それでいい」と思うに足るだけの理由、さらには指揮官としての美学などがあった上での行為となった部分はあるのでしょうし、今回のシリーズのように、ホークスにとっての逆風となる空気が無ければ、そこまでなにが騒がれるというようなこともなかったところだったのかもしれません。
ちなみに小久保監督も三浦監督も、ほぼ毎試合このスタイルでした。
要するに、今このタイミングで始めたことではなく、もちろんお互い他意は特にない、これがそれぞれのスタイルだということなのでしょうが、結論としてはこんな些細なところからもホークスサイドに”ケチ”がついてしまうことになりました。
なんというか、結局のところ“流れ””世評”とはこういうものなのでしょうね。
そんなことを思わされた一幕でもありました。
紳士然とした三浦監督のふるまい、相手を下に見た小久保監督の横柄なふるまい、多くはそんな風に評されたようで、少なくとも試合外では、福岡決戦が後半に入り始めた頃が(結果論的には)ボチボチ巻き返し不可能である、”勝負あった”な空気が出来始めたころ合いだったのかもしれません。
参考:RONSPO ““指笛”で横浜DeNA東の投球を妨害した“犯人”は「ソフトバンクのユニホームを着て酔っ払っていた」…すぐ近くでネット裏解説をしていたOB池田親興氏が目撃“、full count “DeNA東はなぜ指笛を嫌がった? OB捕手は同情、頭にチラついた“サイン盗み”“、サンスポ “【鷹将一問一答】ソフトバンク・小久保裕紀監督「短期決戦は敗因を振り返る意味はない」“、西スポWEB OTTO “「短期決戦は敗因を振り返る意味がないので」「東がすごかったですよ」 ソフトバンク小久保監督の一問一答“ほか
第四戦・第五戦@福岡:5-0,7-0
続く第四戦。
ベイスターズにとってはケイ投手様々という試合でした。
というよりは、ポストシーズンに入ってからのケイ投手の投球には、どこか神がかったものが宿り続けていましたが、そんな投球が引き続き見れたことでチームに勝ちを呼び込むことが出来た、そんな試合だった気がします。
終わってみれば、”王者”を相手に横綱相撲的な試合で完勝したといった一戦で、前半根競べとなった投手戦ではオースティン選手の一発でしっかりケイ投手を援護(牧選手・森選手の二遊間の好守も忘れてはならないポイントでしたね)、その後には打線爆発+完封継投と、がっぷり四つから自力で上に行く試合を演出することが出来ました。
この試合をホークス目線で振り返るのであれば、前日、暗に自分たちが格下だと判断していた相手に完敗した流れを払しょくできずにさらに深みにはまってしまった、「絶対に勝てるはずだった戦いを落としてしまった」、恐らくはそんな空気に延々支配された状態ではなかったかと思います。
そうである以上、福岡三連戦の最終日となるシリーズ第五戦では、ポストシーズンの勢いそのままでぶつかって来るベイスターズに対して、ホークスはどこまで自分たちを取り巻く負の空気をリセットできるか。勝ち負けそのものというよりは内容が良い試合、ベイスターズの勢いそのものを消沈させる試合が出来るかどうか、この辺りが見どころになるだろうとは思えましたが、結局のところ第五戦も、基本的な印象は第四戦ほぼそのままの試合となりました。
強いて言うなら、“ガッツマン”桑原選手のファンプレーがホークスの流れをぶった切ったと同時に、チームとしてのベイスターズの勢いがさらに強まった試合でもありました。
余談として、例えば山川選手のシリーズ(特に福岡帰還後の)絶不調についてなのですが。
山川選手って、今シーズンの個人データで見てみると真ん中~内角の高めと外角の低め、つまりはストライクゾーンの対角線上にあるコース(ど真ん中を含めて、右上から左下にかけてのコースですね)を得意としているようなのですが、反対に外角の高め・内角の低めが苦手で、特にホームベース上かつストライクゾーンの外の高め・低めを極端に苦手としているというデータもあるようなんです。
コースのデータのみをもとにした単純な攻略法としては、ストライクゾーンの苦手コースで勝負しつつうまいことカウントを作る(=追い込む)ことさえ出来れば、最後は高め・低めのボール球で打ち取れる(=追い込むことさえ出来れば決め球にストライクは必要ない、むしろストライクを投げない方が良い)バッターなのだということになるのですが、これって例えば今回のホークス打線で言うと、ストライクゾーンをほぼ満遍なく打っている、かつ、ボール球をボール球だときちんと見極めてくる近藤選手あたりとは、対照的な特徴なんですよね。
他ホークス主力打者(いずれも今期のデータ)では、柳田選手は外角低めとど真ん中のボールになる高め低めが苦手、今宮選手は内角高めと真ん中から外のボールが苦手、周東選手は強いていうなら内角の高め低めのボール球が苦手と、いずれもそこまで”クセ強”でもない感じなので(=ほんのわずかなコントロールミスで、満遍なく打ち返されてしまう)、山川選手についてはやっぱり、怖いといえば怖くとも、わかりやすいといえばわかりやすい”クセ持ち”バッターなのかもしれません。
実際に第四戦・第五戦あたりの打席を振り返っても、カウントを問わず山川選手がブンブン振り回していたのは、全てではないにせよほぼそのコースのボール球でした。
反対に、ハマスタ第二戦の豪快な一発は、元々山川選手が大好きなコースに入った球(苦手コースの僅か下に位置する、超得意コース)でした。
つまり、第三戦以降徹底して”主砲の苦手”を攻め倒すことが出来たベイスターズ投手陣が一枚上手だったということになってくるのですが、素人目に見ても明らかとなっているわかりやすい特徴をプロのデータ分析班(=スコアラーなど)が見逃すはずもないだろうということで、あとはここに例えば球種と組み立てからの分析を追加すれば、さらにくっきり弱点が浮かび上がってくることになるのではないでしょうか。
ここまでくると、むしろ主砲の山川選手を冷凍するためにあえて大貫投手がホームランを打たせたのではないか(そこまで言わずとも、第二戦でホークスを勝利に導いた一発に、後の不調の一因となった面があったのではないか)とすら思えてくる位のハマりっぷりではあるのですが、結果としてホークスの主砲・山川選手は、ベイスターズの投手陣によって、福岡での三試合でキンキンに冷凍されてしまいます。
参考:データで楽しむプロ野球 “2024年度 山川 穂高【ソフトバンク】コース別(ゾーン別)打率・成績“、Number web “日本シリーズ“DeNA逆襲劇”の背景は捕手・戸柱恭孝のソフトバンク山川穂高対策にあり…一方の山川は「キャッチャーと勝負すると僕はほぼ負ける」“
ほか、余談その2として、特に今回のシリーズではこれが目立ちましたという点として、ファン目線からの球審の判定への疑義がありました。
ストライクゾーンが動いたように見えたり、バッターによってゾーンが異なるように見えたり。
一体どうなっているんだという類の奴ですか。
ファン目線でというよりは、実際にハマスタでの試合だったか福岡の初戦だったか忘れましたが、オースティン選手が球審の判定にブチ切れる一幕もあったので(以降、怪しいボールの判定が一様に厳しくなったように記憶しています)、ある程度選手間でも言われていたことなのかもしれません。
定義としては“ベース上×打者の肩~膝”の空間を通過したボールがストライクだと判断されることになるので、もとより審判毎に散ってしまうようなものではないはずなのですが、それでも厳密には打者ごとに変わり、かつ構えによっても変わるもの=ストライクゾーンでもあります。
肝心かなめの部分として、結局は人間のジャッジによっている以上、どうしてもある程度アバウトになってしまう部分が出てくるのも致し方ないといえばそうともいえるところで、恐らくは投手・配球・審判・打者の構え、さらにはユニフォームの色やグラウンドの状態、昼夜の違いによる相性というものも、何らかの影響を与えているのではないかと思われます。
人間の視力(特に動体視力)の問題上、微妙な判定を生じやすい組み合わせというもの自体、確実に存在しているのでしょう(細かいことはわかりませんが)。
加えて、昨今はNPBでもMLBでも捕手が露骨なフレーミング(ボールをストライクゾーンの外で捕球した後に、ストライクゾーンに戻してくる仕草)をしてくるので、そういう動きにごまかされてしまうという部分(反対にそれを警戒しすぎた結果、例えばストライクゾーンに入った球を「フレーミング」でそう見えたのだと判断されてボールにされる、など)も、なくはないのでしょう。
いわゆる「パイア」(どちらかのチーム優位に偏重する判定)よりは純粋な誤審の方が多いと考えるのが素直な捉え方だろうということで(「パイア」もゼロではないのでしょうが)、少なくとも現状では「そういうものだ」「判定が必要なスポーツには付きものなのだ」と割り切るしかないところでもあるのかもしれません。
第六戦@横浜:11-2 優勝!
ということで、舞台を再び移すこととなり、最終決戦の地・横浜へ。
当初から予測されていたように、2日は雨天中止、3日に順延となりました。
投手はそれぞれ、ベイスターズ大貫投手、ホークス有原投手がスライド登板です。
例によって例の如く、ベイスターズファンの間ではこのことが侃々諤々の議論のネタとなるのですが(大貫スライドで全然かまわない、いやいや東を中5で登板させろ、などなど)、そんな議論などどこ吹く風と言った感じで立ち上がりから全く危なげない大貫投手、相変わらず絶好調の桑原選手に対して、いまいちくすぶっている牧選手・オースティン選手。
勢いの余韻は感じられるにせよ、一日空いたためにまだまだどう転ぶかわからなくなってしまったというような、どこか、良くも悪くもシリーズのこれまで全てが去来するような入り方でもありました。
一方で、個々の能力の高さは感じさせるものの、チームの勢いが完全に鎮火してしまっていることも感じさせる、ホークス。
心なしか、有原投手も第一戦の時とは別の投手に見えるような、そんな状態になっていました。
どことなく両チーム拮抗を感じさせる立ち上がりで、これは案外グダってもつれるかもしれないな、なんてことを思わされた矢先。
いかにもなにかありそうな場面だったといえばそんな場面でもあったのですが、ここで筒香選手がこの試合の均衡を破る、バックスクリーン横への先制ホームラン。
二回にして早くも泣いている筒香ファンそこかしこにいるんじゃないのかな 笑、なんていう一発でしたね。
試合はその後、地力に勝る展開でベイスターズが試合を通して押していくというような、シリーズ開幕前であればちょっと予測不能だったであろう展開になって行くのですが、ここでこの試合の有原投手に不運だと思えたのは、明らかに球審との相性がおかしいことになっていた点ですね。
どっちに味方してどうだという判定だったというよりは、バッターが右打者になるか左打者になるかで同じコースの判定が変わってしまう「ように見えた」あたり(特に試合の中盤で、両チームとも右投手vs右打者の場合は投手有利、右投手vs左打者の場合は打者有利の判定が多いように見えました)。
有原投手(右投げ)がベイスターズ森選手(左打者)への押し出し四球を出したとき、有原投手は失笑的な薄笑いを浮かべていたようにも見えましたが、概ねこの辺りで完全に気持ちが切れてしまったのかもしれません。
この場面で仮に右打者が続く打線を相手にしていたらどうなったんだろうか、などと考えると、この辺りホークスにはツキというツキも味方してくれなかった感も強かったです。
とはいえ、ホークスもただやられっぱなしだったわけではなく、一時は柳田選手がバックスクリーンにぶち込む2ランホームランなどで盛り返したようにも見えたのですが、中盤に至るとさらに勢いを増したベイスターズ打線の前に試合は崩壊の様相を呈し、5回にはこの日の第一打席でホームランを打っている筒香選手が走者一掃のタイムリー2ベースを打って10-2。
文字通りの滅多打ちが続き、さらに一点追加して11-2。
結局、このイニングでほぼシリーズの勝負あったといった感じではありました。
とはいえ、試合が試合なだけに生半可に手を抜くということも許されず、継投でも当然の如くに勝ちパが惜しみなく投入されていきます。見ていて感覚がバグってくるというか、これがどんな試合なのかを改めて伝えて来るかのような展開でしたね。
“26年ぶり”って、そういうことなのでしょう(ちなみに26年前は38年ぶりでした)。
10点近いリードがあっても、23年WBC大谷選手のような(あるいは17年シリーズのサファテ投手のような)煽りパフォーマンスを観客に向けて見せた(結果、好リリーフと相まって、柳田選手がもたらした勢いを断ち切った)濱口投手からバトンを受け、イニングを跨いで好投した坂本投手に続き、8回伊勢投手、9回は森原投手。
本気の勝ちパターン継投で繋がれ、そして歓喜の瞬間へと繋がって行きました。
最後にあえて触れておきたい点として、最終回ホークス上位打線からの攻撃時。
周東選手、今宮選手の後を打ち、ホークス最後のバッターとなった柳田選手について。
この日のベイスターズに一矢を報いる形となった2ランホームランも含め、シリーズ全試合で奮闘していたホークス・柳田選手は、あえて、ということなのでしょう。
派手な空振りで、この試合=24年の日本シリーズを締めました。
最後の最後で看板選手が魅せて来た負けっぷりの良さは、どこか17年”完全体”ホークスの片りんを感じさせるものでもあって、ホークスファンでなくとも泣けてくるシーンとなったのですが、ちなみにベイスターズファン的には、同じ第六戦(ただし2017年の福岡ドーム)にて、ヤスアキ投手が内川選手にツーシームを狙い打たれたシーンや、川島選手に決められたサヨナラのシーンなどがオーバーラップしました。
思えば、26年前、ベイスターズが甲子園で38年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた時。
当時の阪神タイガースのスター選手であった新庄選手(現・北海道日本ハムファイターズ監督)が、今回の柳田選手を思わせるような派手な空振りで佐々木・谷繁バッテリーとの勝負を締め、ベイスターズのリーグ優勝が決まった試合を演出してくれたことに、どこか被って見えてくるシーンでもありました。
とうとうあのホークスに日本シリーズで勝ったんだ、勝ち方、終わり方からも、そんな実感を盛り上げてもらった試合でした。
追伸
阪神タイガース繋がりということで、余談として、少々緩めのネタですが。
今回のベイスターズvsホークスの総得失点差がベイスターズ 33-14 ホークスであったことも、日本シリーズ終了後に、一部ネットの野球ファンの間では話題となっていました(?)。
なんでもかんでも33-4に結びつけたらいいというものでもないだろう、とは思いますが。
参考画像
33-4に架けるのであれば、ベイスターズの第三戦までの得点も3-3-4なんですよね。
もはや、何が何だかわからない、という奴ですか。
良くも悪くもというか、あらゆる意味で、夢にも思わなかった、想像もしていなかった結末でした。
追伸その2
日本シリーズ後の、三浦監督の娘さん(サンスポ競馬記者の三浦凪沙さん)のXへの投稿です。
素顔の”ハマの番長”は、あだち充さんのマンガでも主役張れそうな雰囲気醸してますね 笑。
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