【口コミ問題】Googleマップの口コミ評価で”ステマ”発覚。消費者庁が措置命令へ

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誹謗中傷問題に敏感になる一方で

参考:消費者庁公式サイト “医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について“、ITメディアニュース “「Googleマップの口コミ高評価で割引」はステマ、消費者庁が措置命令

類似ニュース:【口コミ問題】Googleマップへの”中傷”投稿に賠償と削除命令

SNSへの中傷投稿が問題となる一方で、そうなれば当然こういう問題の台頭も考えられることになるだろうという、今度は情報の受け手に”情報発信”ではなく”ネット情報の理解力”が問われるケースがニュースになっています。

とある医療系の法人で「高評価の口コミ評に対して対価を与えるという形で、通院者に強いて好意的な評を依頼していた」、というニュースです。

この件については、例えばAmazonの通販では同種のことが常態化している今日(☆5レビュー投稿で何割引き、みたいな奴ですね)、気持ちはわからなくもないのですが、という話しに(見方によっては)見えないこともありません。

でも、違反は違反なんですよね。

“中傷”とはベクトルが違うというだけで、情報の受け手が被ると想定されるのは、結局のところどちらも”偽情報をつかまされたデメリットだ”ということになって来るからですね。

そんなにひどいところなのか!→そんなことはなかった(中傷)

そんなにいいところなのか!→そんなことはなかった(ステマ)

強いて言えば、こういう違いですか。

あとは、ひとたび医療関係者がこういうことをやりだすと、無駄に競争が過熱したときの代償が大きくなるのではないかとも思えてきます。

そこは今回の事件において、普通に心配なポイントでした。

例えば、憲法を勉強したことがある人にとっては有名な話として、かつて存在した”薬事法6条2項の規定”では、薬局同士の過当競争の弊害が懸念されたことから、薬局開設にあたって距離制限を設けていました(現在その規定は職業選択の自由-憲22条-に反し、違憲無効であるとして、撤廃されています)。

参考:最高裁判例集(裁判所公式サイト) “薬局距離制限事件“、e-gov “日本国憲法22条

薬局同士を無駄に競らせると競争の激化によって薬の品質の低下が懸念される、そのことが市民生活にとって大きな害となることが考えられる(よって、公共の福祉=社会全体の利益増進のため、薬局設置に距離制限を課す)、という理屈ですね(”戦後”が続き、技術も今ほど進歩していなかったという昭和の半ばころまでは、その理屈で回されていたようです)。

薬事法が改正されたからと言って”過当競争”の弊害が許容されたわけでは全くない(距離制限を撤廃したところで”弊害”は生じないだろうと判断されたことが、違憲判断の根拠ですからね)、同じ理屈で、医療機関ではこの手の競争をあまり加熱させてほしくない、そこに繋がるような余計なことは控えてほしいというようなことは、やはり改めて強く感じました。

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