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【青春18きっぷ旅の行間/夕日が赤い理由】夕暮れ時の鼠ヶ関駅にて、日没タイムの行間
18きっぷ旅と夕暮れ時
新潟県との県境に位置する山形県の鼠ヶ関駅にて夕暮れ時の街歩きをした後、中々綺麗な夕焼けや月の出を見ることが出来ました。
ということで、ここでは以下「なぜ夕日が赤く見えるのか」について簡単にまとめます。
可視光線と電磁波、光子
可視光線と太陽の光
波としての光
人間の目が色を色として認識できるのは、”可視光線”と呼ばれる電磁波(人間の目に”色”を認識させる、エネルギーの流れ)が持つ”波としての性質”によっている、すなわち、色の違いは可視光線自身が持つ波長(周期の長さ)の違いによって生じていると考えられています。
例えば赤色が赤く見えるのは可視光線が”赤色に見える”周波数を持っているため、青色が青く見えるのは同様に”青色に見える”周波数を持っているためです。
それぞれの可視光線の持つ周波数の違いを、人間の目が”赤色”あるいは”青色”と認識することによって色を判別するのですが、X線や紫外線、赤外線、電波等々様々な種類の電磁波の中で、たまたま人間の目がそれを色だと認識できる範囲の周波数を持った波が”可視光線”と呼ばれる、人間の目に色を認識させる”エネルギーの流れ”となっているんですね。
以上をまとめると、太陽光を考える場合であれば「人間の目は電磁波が持つ周波数の違いによって、太陽から発された光に含まれた可視光線の色を認識する」となります。
参考:コニカミノルタ公式サイト “人間は、特定の波長を色として感じることができます。“、ウシオ電機公式サイト “光子“、Cannonサイエンスラボ “光と単位“他
粒子としての光
電磁波はまた、光子=フォトンによって作られているとも考えられています。
光子とは質量を持たない”光の基”だと考えられている粒子で、その数が光の強さを決定するという性質を持っています。
フォトンの数が多ければ強く、少なければ弱いと考えられていますが、この点は電磁波(可視光線も含みます)が持つ粒子としての性質が根拠になっています。
可視光線と電磁波
電磁波とは電気と磁気の力によって作られる波(波動)のことですが、電磁波は一般の”波”とは異なって、波でありながらも粒子(前記した”光子”)としての性質を併せ持ちます。
改めて、人間の目が色を色として認識できるのは光が波動であるためであり(周波数の違いで色の違いを判別します)、同様に光の強弱を認識できるのは光が粒子であるためです(光子の数で光の強さを判別します)。
すなわち、光が持つ波(波動)としての性質と、光が持つ粒子としての性質が重なり合うことによって、太陽光は太陽光として認識されているのですが、可視光線が持つ「波動であり、粒子でもある」という特徴は、可視光線自身が電磁波であることから、そのまま電磁波一般が持つ特徴とも一致します。
電磁波の一種である可視光線も、電磁波一般も、共に波であり、粒子であるということですね。
目に見える世界の運動と、”微細”な世界の運動
ニュートン力学(中学や高校で勉強する”古典物理”で、”F=ma”の運動方程式で理解可能な物質の運動を対象とします)的には、波動(音波など)とはエネルギーの伝搬現象であり、物質の運動とは”まずはじめに物質ありき””そこに外部から加わる力ありき”で検討していくことになる現象です。
例えば斜面を落ちる何かしらの物体の運動であれば、「その物体に加えられた力」「転がる面に働く抵抗(摩擦力)」「空気抵抗」「重力の影響(垂直抗力)」等々を考慮に入れて捉えます。
同様に、”音波”の伝わり方を考える場合、”音源(あるいは音波の受け手)の動き=エネルギーの出力元(あるいは受信元)の動き”を計算に入れることはままありますが、”エネルギーの中身”自体に言及するようなことは原則としてありません。
つまり、”エネルギー”自身のあるがままを、あるがままに捉えることが原則となっています。
この事に対して”電磁波”を考える場合には、”目に見えない微細な世界”、具体的には物質の最小構成単位である原子、さらにその中にある原子核の内部や電子の運動がテーマとされる、言い方を変えると”ニュートン力学”が対象としてこなかった世界を対象として話しが進みます。
電気と磁気
ここで、電磁波がその性質を併せ持つという、”電気”と”磁気”について。
電磁波のメカニズムを考えるにあたってミクロな世界で話しを進めると、電気とは、原子核中の陽子が正、電子が負の電荷を帯びていることによって作られる力(引力や斥力)であり、磁気とは(負の電荷を帯びた)電子の運動(=電流の発生)によって作られる力のことです。
例えば、鉄は磁気の性質=磁性を持つ物質ですが、磁性を持つ物質同士は、それぞれが単体で磁性を持っていることが原因となって、それぞれの磁性に反応し合う形で引力・斥力を生じます。N極同士、S極同士は反発し合うが、N極とS極であれば引っ張りあうという、磁石の持つ性質がまさにこれに該当します。
磁性を持つ物質同士は反発し合うことがあれば引き合うこともある、これ全て磁性を持つ物質の”磁力”が原因となっているのですが、この現象をミクロな世界に照らし合わせると、電子の流れが”磁気”を作り出す、電子は自身が帯びている電荷(マイナス)とは別に、”磁力”という力を発生させると捉えられます。
逆に”磁力の発生が、電子の流れを発生させる”、つまり”そこに磁性を持つ物質があるのであれば、磁性を持つ別の物質を近づけることによって、新たに電子の流れを生じさせる“ことも可能となるのですが、例えば理科の実験でおなじみ「コイルの中に磁石を通すと電気が発生する」という”電磁誘導”は、まさにこの理屈で”誘導電流”と呼ばれる電流を発生させる現象のことです。
以上、まとめると、”電気”は電子がマイナスの電荷を帯びていることによって発生する力、”磁気”は電子の運動によって作られる力ですが、”電気”の力で”磁気”を、”磁気”の力で”電気”を、それぞれ発生させることが出来ます。
電磁波とは
電気と磁気、双方の力が働く空間を電磁界(電磁場)といい、電気と磁気、双方の力によって作られる波を電磁波といいます。
前項の繰り返しになりますが、電気がある所には電流があり(電流の流れと電子の流れは逆向きですが、電流は電子の流れが作り出します)、電流=電子の運動が認められるのであればそこには磁力が働くことになる、つまり電界と磁界は”一方の発生がもう一方の発生を促す”関係にあります。
電気と磁気は、まるで別のものであるというよりは、二つで一対になっている形ですね。
電界を変化させたとき(ex.電流の流れる向きを変えるなどした時)には磁界に(電流の変化を受けた)変化が生じ、そこで生じた磁界の変化は新たに電界を生じさせることにつながって行くといったように、電界と磁界の力の繋ぎ合わせで伝わるのが”電磁波”と呼ばれる波の持つ特徴です。
伝わり方には”波動”一般が持つ周期性がありますが、一般的な”波動”との違いとしては、電磁波の場合、粒子としての性質も持っている点が挙げられます。電磁波が”波動”としての運動を進めていく時、その力の基となっている微細な部分では、原子核中の電子の動きが重要な役割を果たしているためですね。
参考:経済産業省 “電磁界とはどのようなものですか?“、Cannonサイエンスラボ “光って、波なの?粒子なの?“他
夕日が赤い理由
昼間の高い位置にある太陽から発された光であれば、いわゆる”光の三原色”(赤、緑、青)全ての可視光線が混じっているため、無色=白色となって地表に届きます(光が強いのは、光子の数が多いことによっている、と考えます)。
一方、日没が近づくにつれて太陽と地表との間に距離が出来てしまうため、可視光線の中で波長が最も短い”赤色”以外の可視光線が途中で途切れてしまいます(大気中の小さな粒子にあたることによって光が散乱し、人目に届く前に消えてしまいます)。
結果、夕方には赤色だけが届いて”真っ赤な夕焼け”が出来上がります(同じく、光が弱くなるのは、光子の数が減っているためだと考えます)。
鼠ヶ関の夕暮れ時と、月の出
ということで、最後になりましたが、今回の記事的には余談として。
綺麗であり、なおかつちょっと不思議な時間ともなったという、鼠ヶ関駅での(夕暮れ時のあとの)月の出の時間について、
【群馬/新潟青春18きっぷ旅:二日目その6】鼠ヶ関駅より、復路の羽越本線・白新線へ
にて、公開しています(2023.11.18公開)。
是非、読んでいただけたら嬉しいです。
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